【9月29日 People’s Daily】中国江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)に住む趙秀英(Zhao Xiuying)さん(61歳)は、早朝にコミュニティー衛生サービスセンターに薬を取りに行って、帰りに野菜を買った。彼女はこれらの品を家に持ち帰るのではなく、同じ団地に住む一人暮らしの84歳の何おばあさんの家に送った。

 何おばあさんの家から出てくると、趙さんはスマートフォンのウィーチャット(WeChat)アプレットの「タイムバンク」を開き、最新のタスクドッキングの記録で「ドッキング済み」をチェックし、先ほどのボランティア時間を自分の「銀行口座」に入れた。「多い時では、3000時間以上たまったので、一部を米、油、塩などの食料品に換え、残りは後でマッサージ、ヘルス・医療などのサービスに換えたい」と、趙さんは語った。

 趙さんのいる南京市栖霞区(Qixia)堯化街道は、人口の20%以上が60歳以上の高齢者だ。2014年、同街道は南京で「タイムバンク」を率先して開設し、「比較的若い高齢者がさらに年上の高齢者に奉仕する」という相互扶助型養老の新モデルを模索してきた。

「タイムバンク」モデルは、「比較的若い高齢者が時間をため、さらに年上の高齢者がサービスに換える」という考え方に基づき、ボランティアが高齢者に養老サービスを提供することを奨励・指導し、一定のルールに従って「ためた」サービス時間を記録し、必要時に時間を引き出してサービスや現物に換えるボランティア式相互扶助型養老の新モデルだ。

 堯化街道にある「タイムバンク本店」担当の王小花ロビーマネジャーは、これまで合計7666人のボランティアの「貯蓄者」を獲得し、約42万時間の「預時間」をためており、「取引明細書」は延べ69万回以上のサービスを提供済みとしていると述べた。 

 王マネジャーの紹介によると、2019年に「タイムバンク」はバージョン3.0となり、管理プラットフォームをアップグレードし、WeChatアプレットを開発した。ボランティアはオンラインのアカウント作成、ボランティアサービスの申し込みや、サービス時間の確認が可能になった。管理者は需要側の内容、時間、場所と、ボランティアの年齢、性別、距離などに基づき、正確なマッチングを行い、ボランティアの奉仕意欲の向上のみならず、サービス資源の適正配分も可能になったという。

 現在、河北省(Hebei)、北京市などの多くの地域では、「タイムバンク」モデルの成功経験をもとに、民間の活力を結集させ、高齢者のためのボランティアサービスやコミュニティーガバナンスへの参加を促進している。今年1月、北京市政府活動報告は、「タイムバンク」相互扶助型養老モデルの開発を市政府の業務任務として明確に打ち出した。ボランティアが1時間奉仕するごとに個人口座にタイムコイン1枚がたまる。タイムコインは関連する養老サービスに利用でき、直系親族に贈ることもでき、1万枚ためれば公的高齢者施設に入居することもできる。

「タイムバンク」以外にも、各地では新業態・新モデルを積極的に模索し、養老サービスを充実させている。スマートプラットフォームの開発、高齢者のための「ケアマップ」の作成、家庭医のサービスモデルの改善、高齢者のためのオンライン注文、医療スタッフの訪問サービスの提供など。 より多くのテクノロジーを駆使したスマート養老サービスシステムが絶えず確立され、高齢化事業と産業の質の高い発展を促進し、高齢者グループの満足感と幸福感を高めていく。(c)People’s Daily/AFPBB News