【9月27日 AFP】世界の穀倉地帯といわれるウクライナの農村で、食料を求める行列ができていた。ロシア軍との戦闘の前線となっている東部にある村レブヤジェ(Lebyazhe)での光景だ。

 ウクライナ部隊は第2の都市ハルキウ(Kharkiv)へと続くルートの防衛に力を尽くし、ロシア軍がこの村に進軍することはなかった。それでもウクライナ軍がロシア軍を押し返すまで、村は何度か砲撃を受けた。

 国連(UN)世界食糧計画(WFP)の配給を受けるために、村の商店に並んでいた住民のガリーナ・ミハイロウナさん(75)は「ひどい、ひどい。言葉にはできません」と言った。道路を挟んだ文化センターの建物には、砲弾による穴がぽっかりと開いている。

 村人が集まる中、多連装ロケット砲を搭載したウクライナ軍のトラックが狭い道を走り抜け、時折、砲弾の音が鳴り響く。

 村は、ドネツ(Donets)川の下流に位置する。ロシア軍は民間のインフラを標的にしていると言われているが、先日、上流のダムがロシア軍のミサイル攻撃を受けた。村のすぐ近くには、世界中で食用油の原料とされているヒマワリの畑が広がっている。

 村で配られたWFPの箱には1人の1か月分の食料として、米、油、パスタ、豆や缶詰など12キロ分が入っていた。

 高齢者が運ぶには重いが、近所の人々が手伝い、食料が入った箱は手押し車や自転車に積まれていった。

 支援物資を受け取るためにやって来た村人たちがうれしそうにあいさつを交わし、子どもや犬もはしゃいでいる。ほんの数時間でも現実の問題を忘れられそうなひと時だった。

「6か月も電気が通ってない。ガスは3か月だ。でも、私たちはどうにかやっていきますよ」と村人の一人は言った。(c)AFP/Dave CLARK