【9月23日 AFP】母国に妻子を残し、小さなかばん一つでアルメニアに到着したドミトリーさんは、ウクライナ侵攻への従軍を避けるためにロシアを出国した多数の人々の一人だ。

 ドミトリーさんはAFPに「戦争には行きたくない」と吐露。「こんな無意味な戦争で死にたくはない。これは同胞殺しの戦争だ」と訴えた。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が今週、30万人の予備兵動員を決定したことで、同国では国民の国外脱出が相次いでいる。

 17歳の息子と共にアルメニアの空港に到着したセルゲイさん(44)は、途方に暮れて疲れ果てた様子で「ロシアでは誰もが国を離れたくなるような状況だ」と証言。自身が「動員を理由に」逃れてきたことを認めたが、名字は明かさなかった。

 アレクセイさん(39)は「控えめに言っても、21世紀に戦争に行くなんて間違っている」と主張。将来、帰国できるかどうかは「状況次第だ」とした。

 モスクワ発の便でアルメニアの首都エレバンに到着した人々の大半は、兵役対象年齢の男性で、多くの人は取材に消極的だった。

 安全上の理由から匿名を希望した男性は、動員令に「ショックを受けた」と説明。「この戦争を支持している人はほとんどいない」とし、「とても痛ましい。すぐに全部終わってほしい」と語った。

■ロシアは「偽情報」と否定

 ロシア大統領府は22日、招集対象の国民が出国を急いでいるとの報道を「偽情報」と否定。だが、ロシアからアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンといった近隣の旧ソ連諸国に向かう空の便は、向こう1週間にわたりほぼ満席となっている。

 ロシアと国境を接するフィンランドの入管当局は22日、動員令の発表後にロシアからの入国者が増えたことを認めたが、その数は比較的低い水準を保っていると強調した。

 フィンランド・バーリマー(Vaalimaa)のロシア国境検問所では同日午後、入国待ちの車が150メートルの列をつくっていた。モスクワから到着した男性(23)はAFPに対し、自身は招集対象だと説明。もともと10月までにロシアを出国する計画だったが、動員令を受けて予定を早めたと語った。(c)AFP/Mariam HARUTYUNYAN