【9月23日 東方新報】中国自動車工業協会によると、中国で新エネルギー車(NEV)の販売台数が1~8月で386万台に達し、昨年1年間の販売台数を早くも超えた。

 中国では2018年から自動車の販売台数が頭打ちとなっていたが、2021年の販売台数は4年ぶりに増加に転じた。その立役者がNEVで、販売台数は前年比2.6倍の352万台となり、新車全体に占める割合は13.4%に達した。2022年に入ってからは新車全体に占めるNEVの割合は20%を超えており、「市場の電動化」がさらに加速している。

 中国のNEV開発の歴史は2000年代初期にさかのぼる。国家重要プロジェクト「863ハイテク開発計画」に指定されて基礎研究が始まり、数々の新技術と特許を取得。「三縦三横」と呼ばれる産業構造を確立した。「三縦」は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、「三横」は蓄電池、電機、電機制御の三大コア部品を指す。

 そして2009年ごろから、市場への進出が本格化する。流通協会NEV分会の章弘(Zhang Hong)事務局長は「NEVの最もインパクトのあるデビューは、2009年の上海国際モーターショーだった。現在も活躍している比亜迪汽車(BYD)、奇瑞汽車(Chery Automobile)、吉利汽車(Geely Automobile)、長安汽車(Changan Automobile)がそれぞれNEVのコンセプトカーを出展した」と振り返る。

 中国政府は自動車購入時の税金を免除するなどの優遇措置を設けて、NEVへの買い換えを促進。走行距離が100キロ程度から500キロに伸びるなど技術改良が進み、米国のEV大手テスラ(Tesla)が参入するなど国内外のメーカーが競争を繰り広げた。

 こうした流れを受け、2012年は約1万3000台だった中国のNEVの販売台数は、今年は550万台と予想され、10年間で423倍に増加する計算だ。販売台数は2021年まで7年連続で世界一を記録。同年で世界のNEVシェアで中国が53%を占めた。

 急増するNEV市場には課題もある。都市部の充電スタンドが不足してドライバーの行列ができる一方、農村部の一部のスタンドは使用されずに「ゾンビ化」している。大量の交換期を迎えた廃バッテリーのリサイクル体制も整備が進んでいない。修理費が高く、メーカーの保証期間を過ぎると自動車の保険代がはね上がるため、ユーザーの間で不満が高まっている。

 ただ、「走りながら解決策を探す」のが中国の産業界の特徴。NEVメーカーは自らの生き残りのためにも技術開発を進めている。NEVを経済成長のエンジンとしたい中国政府も業界を後押ししており、官民あげて課題を克服しようとしている。(c)東方新報/AFPBB News