【9月22日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は21日、ニューヨークで開かれている国連総会(UN General Assembly)で一般討論演説を行い、ロシアがウクライナ侵攻を始めたことで国際社会の秩序に「恥知らずにも」違反したとして、痛烈な批判を展開した。

 バイデン氏は「ロシアは恥知らずにも国連憲章(UN Charter)の中核的な信条に違反した」と言明。「国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国が、主権国家を地図上から消滅させるため、隣国に侵攻したのだ」と指摘した。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が同日、予備役の部分的動員を発表した演説で、核兵器使用を示唆したことについても言及し、「核戦争は勝つことができず、決して行うべきではない」として、ロシアは「無責任に」核兵器の使用をちらつかせていると批判。一方で、米国は「重要な軍備管理措置を追求する用意がある」とした。

 ロシアに対する厳しい批判を終えると、演説の焦点は発展途上国に対する支援に移った。一部の途上国では、西側諸国のウクライナへの武器供与に巨額を投じていることに対する反発が高まっている。

 バイデン氏は、世界有数の穀物輸出国であるウクライナが侵攻を受けたことで悪化した世界的な食糧危機への対策として、29億ドル(約4200億円)の追加拠出を表明した。

 さらに、米国がこれまで消極的だった安保理の常任理事国拡大についても言及。すでに選出を支持していた日本やインドに加え、アフリカや中南米からの選出も支持すると述べた。また、米国は「安保理の信頼性と実効性を維持するため」、非常事態を除いて拒否権の行使を控えると約束した。

 一方、国際社会の分断が深まる中、中国に関しては緊張緩和に努め、米国は「対立」も「冷戦」も求めていないと説明した。(c)AFP