【9月22日 Xinhua News】中国山東省(Shandong)昌邑市(Changyi)の青阜村では初秋を迎え、人の背丈を超えて育ったトウモロコシの畑が10万ムー(約6700ヘクタール)の土地に広がり、人々に豊作への期待を抱かせている。ここは数年前まで、5年のうち3年は不作という塩類・アルカリ土壌だった。

 昌邑市が属する濰坊市(Weifang、昌邑は濰坊市下の県級市)には、200万ムー(約13万3千ヘクタール)余りの塩類・アルカリ土壌があり、以前は「夏は水がたまり、冬は土が白くなり、干ばつになればイナゴを獲り、洪水になればカエルを獲る」というのが当たり前だった。ここ数年は、土地の実情に合わせた措置を講じ、地下排水管による排塩や淡水灌漑による脱塩、土地造成、マルチフィルムによる塩分濃度の抑制などを実施。かつての不毛の地をトウモロコシや小麦、水稲など食糧作物が育つ土地に変えた。

 濰坊市ではこのほど、中国農業農村部と山東省人民政府が主催する塩類・アルカリ土壌総合利用国際大会が開かれ、多くの土壌学界の専門家が「大食物観(穀物供給を確保しつつ、肉・野菜・水産物など食料全体の供給を保障する考え)下での塩類・アルカリ土壌の総合利用」をめぐり意見を交わした。

 統計によると、中国の塩類・アルカリ土壌の面積は約15億ムー(約1億ヘクタール)で、世界の塩類・アルカリ土壌の約10分の1を占める。うち、利用可能な土地は約5億ムー(約3300万ヘクタール)で、土地を効果的に増やすことができる。これらの土地は、目覚めが待たれる「眠れる資源」といえる。

 白い土壌で黄金色のイネや黄色いトウモロコシ、青々とした牧草、真っ赤なクコの実を育てる。中国は、食糧安全保障を重視した上で、食糧・工芸作物の生産や牧畜、漁業、林業などを行う「大食物観」を堅持している。かつて静寂を保っていた塩類・アルカリ土壌では、生産と生活、生態系が調和を保って発展する「交響曲」が鳴り響いている。

 濰坊の耐塩・アルカリ水稲栽培基地には、見渡す限りの緑が広がり、稲穂の香りが漂う。5万8千ムー(約3900ヘクタール)の海水稲は現在、出穂・開花期を迎えており、10月末には収穫できる。塩類・アルカリ干潟はエコロジーな穀倉へと生まれ変わった。

 地元の農業技術企業、山東浜袁農業科技の田国慶(Tian Guoqing)総経理は「耐塩・アルカリ水稲の年間生産量は3万7千トンを見込む。派生商品70種余りを開発・加工でき、生産額は約2億3千万元(1元=約21円)に上る」と説明。同地はかつて毎年不作続きだったが、今では基地全体に電化、スマート化された新型設備が設置され、干ばつ時には注水、洪水時には排水ができるようになり、水と肥料、労働力を節約していると語った。

 中国は現在、西北かんがい区塩類・アルカリ地と西北内陸塩類・アルカリ地、東北蘇打塩類・アルカリ地、黄淮海平原塩類・アルカリ地、浜海塩類・アルカリ地の五大塩類・アルカリ土壌類型に基づき、生分解可能フィルムによる塩分の浸入阻止と濃度抑制、地下排水管による脱塩と濃度抑制、代かきによる塩分濃度の引き下げなど、塩類・アルカリ土壌の高効率利用に向けた数十種類の技術モデルを構築している。

 山東省を例に挙げると、これまでに塩類・アルカリ耕地580万ムー(約39万ヘクタール)を改良した。国家塩類・アルカリ地総合利用技術革新センターや塩類・アルカリ地生物資源・評価利用重点実験室など11のイノベーションプラットフォームを創設し、耐塩アルカリ新品種を200品種余り育成している。

 中国の塩類・アルカリ土壌は分類別の開発の道を歩んでいる。山東省農業科学院の董合忠(Dong Hezhong)研究員は、重度の塩類・アルカリ土壌での耐塩性植物の栽培は生態系の保全を主な目的としており、中度の土壌では綿花やコーリャンなど耐塩作物を組み合わせて栽培できると説明。軽度の土壌では食糧や油料作物を栽培できるが、食糧作物や綿花、大豆などの輪作を奨励し、土地の利用と回復の結合により持続可能な発展を実現させると語った。

 渤海に面する山東省北部では、耕作に適した土地の改良、土地に適した品種の改良が進み、数百万ムーの塩類・アルカリ土壌が新たな姿を見せつつある。小麦やトウモロコシなどの食糧作物は生産が安定し収穫も増え、綿花やキヌアなどの工芸作物の新品種が急速に普及している。耐塩アルカリの牧草やジャガイモ、ウマゴヤシ、コウライエビなど特色ある優良品種の育成にも力を入れている。

 寧夏大学の許興(Xu Xing)教授は「弱アルカリ環境下では、しばしば高品質の農産物が生まれている。土地の状況に合わせて分類別に措置を講じ、総合的に開発すべきであり、塩類・アルカリ地の総合整備を計画的、段階的に進めていく必要がある」と語った。

 許氏のチームは現在、塩類・アルカリ土壌でクコやトウモロコシ、水稲、ブドウなどの耐塩アルカリ新品種を選抜育種しており、白一色の単調な大地を彩り豊かな土地へと変えている。(c)Xinhua News/AFPBB News