【9月21日 AFP】インドがパキスタンと領有権を争う北部カシミール(Kashmir)地方の都市スリナガル(Srinagar)で20日、映画館がオープンした。反政府武装勢力が映画館を閉鎖してから数十年を経て、銀幕が復活した。

 カシミールのほとんどの映画館は、インドによる統治に反対する大規模な暴動が発生した1989年、反政府勢力により閉鎖された。ボリウッド(Bollywood)の大ヒット作品は文化的帝国主義に通じるというのが理由だった。

 その後、治安部隊に占拠され、拘束・尋問施設として使われた映画館も多かった。一部は、今でも兵士の中継拠点となっている。

 90年代には、カシミールに映画館を復活させようという試みが定期的に起こったが、厳重な警備態勢が敷かれたため、客は戻ってこなかった。

 当局は、中央政府がカシミールの管理を強化し、治安状況が改善された結果だとして、シネコン開設を歓迎している。

 インド側カシミールの行政トップ、マノジ・シンハ(Manoj Sinha)副知事は記念式典で、映画館の開設は当地に「平和を構築する」という政府の取り組みを象徴するものだと述べた。

「われわれは、失われた時代を取り戻している」「この映画館のオープンは、変わりゆくカシミールを反映している」

 式典には主に政府と治安当局の関係者が出席した。

 映画館は来週、一般に公開される。シンハ氏は、カシミールにさらに10軒の映画館を開設する支援を約束している。(c)AFP