丸い月餅は時代を映す 中国で多様な商品販売
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【9月21日 東方新報】中国では中秋節(旧暦の8月15日)に、家族で月餅を食べてだんらんを楽しむのが習わしだ。今年は9月10日に中秋節を迎え、時代を反映した新しい味が登場している。
浙江省(Zhejiang)の月餅製造会社は「低糖質月餅」を開発した。通常は糖度が30%を超える月餅を5%以下に抑えた。中国ではZ世代を中心に健康管理の意識が高まっており、「体にやさしい」月餅をアピールしている。
この会社は昨年、オリジナル月餅で注目を集めた。上海市徐匯区(Xuhui)宛平南路(Wanpingnan Road)600号にある同市精神衛生センターの発注を受け、ミルクチーズ味や青リンゴ青梅味、モカチョコレート味などを製造。住所地にちなみ「600号月餅」の名で販売されると、見た目はオシャレで味も個性的として、SNSで「映える」画像として注目を集めた。センターの関係者向けに78元(約1597円)で販売されたが、インターネットで10倍前後の価格で転売されていた。
こうした月餅は職人たちが1個ずつ丁寧に手作り…かと思いきや、この会社では2000平方メートルの工場に5Gネットワークや自動生産システムなど最新の技術を導入。担当者は「工場の規模は以前なら従業員が200人は必要でしたが、現在は20人で操業しています」と話す。
伝統的な月餅は小豆や五穀、ハスの実などを餡(あん)の材料にするが、最近は「あらゆる食材が月餅になる」と言われている。ロブスター味、アワビ味、プーアール茶味、ティラミス味…。以前は話題性を重視した変わり種としての月餅が作られたが、最近は売れ筋商品を狙った多様な味の月餅が開発されている。
月餅は家族で味わう以外に、知人や仕事先に贈り合う習慣もある。そこで相手に見えを張るため、もしくはワイロの目的で例年、「天価(高額)月餅」と呼ばれる商品が登場する。包装に貴金属を使って豪華にしたり、高級ワインをセットに付けたりと、もはや月餅は「おまけ」のような販売が横行してきた。
中国政府はこれまで何度も過度に豪華な月餅を規制してきたが、そのたびに「抜け穴」を探して新たな天価月餅が誕生していた。しかし今年は、「史上最も厳しい減量令」といわれる規制を実施。包装箱は3層を超えてはならず、貴金属や高級木材マホガニーの使用を禁止した。さらに、1箱500元(約1万238円)を超える月餅は「重点監視」するとしており、「500元超の月餅は売るな」と言っているに等しい。今年はおおむね高額月餅の話題は見られず、効果はあったようだ。これまで高額な月餅の大半は、付属品や装飾品に費用がかかっている。今回の規制により業界全体で月餅の味そのものへの関心が高まれば、消費者にとって大きなメリットとなる。(c)東方新報/AFPBB News