【9月21日 AFP】米ニューヨークで開かれている国連総会(UN General Assembly)で20日、各国首脳らによる一般討論演説が始まった。アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は、物価上昇、地球温暖化、武力紛争により「世界的な不満の冬」が来ると警告した。

 一般討論演説は、新型コロナウイルスの流行を受けて過去2年はビデオ参加も認められていたが、今年は対面参加が求められた。唯一の例外は、ロシアの侵攻を受けるウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領で、事前収録されたビデオ演説が会場で流される。

 冒頭で演説したグテレス氏は、国際協力の取り組みに対して敬意を表しつつ、世界の悲惨な現況について警告。「世界的な不満の冬が差し迫っている」とし、「信頼は崩れ、不平等は急激に悪化し、地球は燃えている。人々は傷つき、最も弱い立場の人々が一番苦しんでいる」と述べた。

 化石燃料への依存についても言及し、「今こそ介入する時だ」と言明。石油企業やその支援者の責任を追及する必要があるとし、全先進国に対して化石燃料事業の利益に課税し、その資金を気候変動による損害と物価高に苦しむ人々の救済に充てるよう呼び掛けた。

 一般討論演説の初日には、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領とドイツのオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相が登壇する予定。両国は、ロシアによるウクライナ侵攻に対し厳しい制裁を科している欧州連合(EU)の2大経済大国だ。

 EUの外相に当たるジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表はニューヨークで開いた記者会見で、今年はウクライナ問題が「避けては通れない」重要な議題になると述べた。

 米大統領は慣例で初日の2番手に登壇することになっているが、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は19日のエリザベス英女王(Queen Elizabeth II)の国葬に出席したため、予定を変更し2日目の21日に演説を行う。ロシアからは、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相が演説する予定。(c)AFP/Shaun TANDON