「塾禁止」の中国で大手塾が農産物を販売 3か月で売り上げ400億円
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【9月20日 東方新報】中国政府の「学習塾禁止令」で大打撃を受けた教育サービス大手の新東方教育科技集団(New Oriental Education & Technology Group)が、テレビショッピングのネット版ともいうべき「オンラインライブ販売」で生まれ変わった。「勉強を教えながら農産物を売る」とい独特のスタイルが注目を集め、最近の3か月で売り上げは約20億元(約409億円)に上ったという。
中国政府は昨年夏、学校の宿題と塾通いの負担を減らす「双減政策」を発表。学習塾については非営利団体への転換を求め、長期休暇中の塾運営を禁止するなど、実質は塾禁止令という内容だった。国内最大手の新東方は職員6万人を解雇し、昨年の年間売り上げは80%減となった。
生き残りを図る新東方はオンライン授業で利用していたサイト「新東方在線」を使い、昨年12月からライブ販売をスタート。売り上げは伸び悩んでいたが、今年6月に講師によるライブ販売をスタートすると風向きが変わった。名物英語講師の董宇輝(Dong Yuhui)さんがステーキ肉をセールスしながら「テンダー(柔らかい)」「ジューシー」と英語を教えるといった販売スタイルが大人気に。他の講師もユーモアを交えつつ国語や社会、理科などを教えながらリンゴや茶葉、ザリガニ、米などを販売した。「見るだけならタダで勉強が受けられ、商品が気に入ったら買えばいい」という「お得感」で注目を集めた。
新東方の創業者、兪敏洪(Yu Minhong)CEOは農村出身で苦学しながら北京大学(Peking University)に通い、学習塾業界で大成功を収めたことで映画のモデルにもなった人物。双減政策により表舞台から姿を消すともみられていたが、見事に復活を遂げた。
新東方在線の尹強(Yin Qiang)執行取締役兼CFOは「ここ3か月間のGMV(流通取引総額)は20億元前後で、利益率は他のライブコマースやMCN(マルチチャンネルネットワーク)の専門企業より高い。兪CEOからは『1年間は赤字でもいい』と言われていたが、最初から黒字になるとは思ってもいなかった」と話している。(c)東方新報/AFPBBNews