【9月23日 AFP】ウクライナ東部ドネツク(Donetsk)州クラマトルスク(Kramatorsk)の住宅地で、オレクサンドル・マトビエウスキさん(42)は枯れ木を切り、たきつけを作っている。

 ロシアとの戦闘の前線から約25キロに位置するこの町では誰もが、やがて来る冬の厳しさを知っている。住民たちはそれに備え、かまどで使うまきを蓄えているのだ。

 マトビエウスキさんは「みんなでかたまって暖を取るのです。(中略)なるようにしかなりません」と語った。

 一部がロシアの支配下にあるドネツク州では、5月にガスの供給が停止した。またロシアに制圧された隣のルガンスク(Lugansk)州でもインフラの損壊を受け、ガスが途絶えている。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は7月、ドネツク州の民間人に対し、戦闘と厳寒から逃れるための強制避難を命じた。

 だが、一部の人は避難せずに残ることを選んだ。町は残った住民のために、まきストーブ約1000台の製作を地元業者に依頼した。ただ、こうしたストーブは本来、この町に多いアパート向けの暖房器具ではない。

 近所の建物が最近砲撃されたというオルガさん(60)も踏みとどまっている住民の一人だ。「私たちはみんなここで一緒に死ぬのです。みんなで墓が一つになってしまっても、仕方ないでしょう。それでも私たちは断固戦います」と拳を突き上げて言った。

 地元当局によると、侵攻前のクラマトルスクの住民22万人のうち、現在残っているのは約6万人だけとなっている。

 映像は6日撮影。(c)AFP/Emmanuel PARISSE