■アピールできるテーマ

 チャールズ国王はこの数十年、数々のスキャンダルに見舞われてきた。ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)との離婚劇では国民から猛反発を受けた末、1997年に同妃は自動車事故で死去した。米国に移住した息子のヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)からは、王室で人種差別を受けたと告発された。

 一方、英王室に詳しいリチャード・フィッツウィリアムズ(Richard Fitzwilliams)氏は、チャールズ国王は自身の慈善団体「プリンス・トラスト(Prince's Trust)」を通じて大勢の恵まれない若者を支援するという「素晴らしい」実績を挙げてきたと話す。

 チャールズ国王が英国の若者にアピールできるテーマがあるとすれば、それは環境問題と気候危機だ。大きく社会問題化するずっと前から、チャールズ国王が強い関心を寄せてきた課題だ。

「その声は届くと思うし、政府や政治家も実際に動きそう」とコナー・アダムスさん(22)は言う。

 アダムスさんの年齢だと、チャールズ国王とダイアナ元皇太子妃が泥沼の離婚劇を繰り広げた時期のことは幼すぎて知らないのだ。

■「私の王ではない」

 しかし、環境問題への関心で若い国民の支持を得られるかどうかは未知数だ。

 6月の世論調査では、国家元首は選挙で選ぶべきだと答えた割合は18~24歳で31%、王室制度は維持するべきという割合は同33%で、ほぼ互角だった。

 エリザベス女王の死去後、ツイッター(Twitter)では、ハッシュタグ「#NotMyKing(私の王ではないの意)」が付けられた投稿が6万3000を超えた。

 だが、王室の伝統と強く結びついてきた英国で、王室を廃止することは難しいとの意見もある。

「僕は共和制に賛成だけど、英国でやれば、きっと大失敗するだろうね」と、カランさんはビールを飲みながら話した。

「チャールズ(国王)は以前から、スペインやデンマークを見習って王室役割を縮小する考えをほのめかしてきた。それが良さそうだ」 (c)AFP/Joseph SOTINEL / Charlotte DURAND