【9月17日 AFP】経済危機に陥っているレバノンで16日、凍結された預金の引き出しを求める人々が、各地の銀行5支店を相次いで襲撃した。一連の「強盗」事件は、経済難にあえぐ国民から広く支持されている。

 同国では、2年前に通貨の価値が暴落を始め、銀行が預金の引き出しを制限して以来、深刻な経済危機が続いている。

 レバノン銀行協会(Association of Banks in Lebanon)によると、ここ1週間に7支店で「預金者強盗」が発生。各行は19日から3日間の休業を発表した。

 首都ベイルートでは14日、おもちゃの銃を持った女が銀行を襲撃し、がんの家族が治療費として必要としている預金の引き出しを要求する事件が起きていた。女はその様子をインターネットで生配信。その後、各地で相次いだ銀行襲撃は、これに触発されたものとみられる。

 AFP記者と治安筋によると、16日には同様の事件がベイルートで3件、南部で2件発生。南部ガジエ(Gaziyeh)では、銃とガソリンの入った容器を持った男が息子を連れてビブロス銀行(Byblos Bank)の支店を襲撃し、自分の預金を渡すよう要求した。

 AFPの取材に応じた銀行の警備員は、男が床にガソリンをまいたと説明。男は約270万円相当の現金を手に逃走したが、直後に警察に出頭。銀行の前には、男を支持する群衆が集まった。(c)AFP