【9月16日 AFP】英ロンドンで19日に執り行われるエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の国葬には、各国の王族や首脳が大勢参列し、外交的な集まりとしてはここ数十年で最大規模のものになるとみられている。

 会場のウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)の収容人数は約2000人なので、各国から国家元首に加えて1、2人しか招待されていない。

 一方、政治的配慮から招待されていない国もあり、少なくとも1国は猛反発している。

 英国で1965年のウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)元首相以来約60年ぶりとなる国葬の主な招待客と招待されなかった国を以下にまとめる。

■世界の皇族・王族

 日本からは天皇、皇后両陛下が参列される。両陛下にとって2019年の即位後初の海外訪問となる。

 オランダからはウィレムアレクサンダー国王(King Willem-Alexander)とマキシマ王妃(Queen Maxima)、ベアトリックス(Beatrix)元女王、ベルギーからはフィリップ国王(King Philippe)、ノルウェーからはハラルド5世国王(King Harald V)、モナコからはアルベール2世公(Prince Albert II)が出席する。

 デンマークからはマルグレーテ女王(Queen Margrethe)が参列。マルグレーテ女王は親戚のエリザベス女王の死去を受け、自身の即位50周年を祝う一連の記念行事を取りやめた。

 スペインからは国王フェリペ6世(King Felipe VI)と前国王フアン・カルロス1世(Juan Carlos I)が出席する。

■世界の首脳

 米国からは、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領と妻のジル(Jill Biden)氏が参列。招待客リストの筆頭を飾る。

 フランスからはエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が出席。エリゼ宮(Elysee、大統領府)は英国との「揺るぎない」絆を示し「永遠の女王」に敬意を表するためとしている。

 強権的な指導者も招待されており、トルコからはレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領、ブラジルからはジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領が参列する。

 英国は欧州連合(EU)を離脱したが、欧州委員会(European Commission)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長と欧州理事会(European Council)のシャルル・ミシェル(Charles Michel)常任議長(EU大統領)も出席する。

 この他、イタリアやドイツ、イスラエル、韓国からも大統領が参列する。

 アイルランドからはミホル・マーティン(Micheal Martin)首相が出席。2011年に同国を訪問し、長年にわたる英国との緊張の緩和を促したエリザベス女王に敬意を表する象徴的な動きだ。

 エリザベス女王を国家元首としていた国や英連邦(Commonwealth)加盟国からも首脳が参列する。

■招待されなかった国

 英政府筋によると、女王の国葬にロシアとベラルーシが招待されていない。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が理由とされる。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はウクライナ侵攻を受けての制裁の一環として、英国への入国を禁止されているが、国葬には参列しないと明言していた。

 しかし、ロシア外務省は15日、国葬にロシアを招待しないのは「女王の記憶に対する冒涜(ぼうとく)」であり「甚だしく不道徳」と非難した。

 政府筋によると、2か国以外にも、旧英植民地だが軍政下にあるミャンマーと、長年にわたり国際的に孤立している北朝鮮も招かれていない。(c)AFP/Danny KEMP