【9月17日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)が今月8日に死去して以来、チャールズ国王(King Charles III)は「無私の義務」に生涯をささげた「最愛の母」に惜しみない称賛を送っている。だが、特筆すべき女王の本質がもう一つある──ユーモアのセンスだ。

 女王はとてもちゃめっ気のある人柄で、物まねが上手で、辛口のウイットと自分自身を冗談の種にすることでよく知られていた。

■パディントンと007

 今年6月、女王の在位70年を祝う「プラチナジュビリー(Platinum Jubilee)」の記念コンサートで公開された映像作品で「くまのパディントン(Paddington Bear)」と共演し、コミカルな演技を披露したのは記憶に新しい。

 ティータイムに招かれたパディントンが直接ティーポットから紅茶を飲み、バランスを崩してお菓子をつぶしてしまい、代わりに帽子からマーマレードサンドイッチを出して女王に勧めるという筋立て。女王は「私も、いつも自分用のをここに入れているんですよ」とハンドバッグからサンドイッチを取り出してみせる。

 最後は、コンサートのオープニングを飾る英ロックバンド「クイーン(Queen)」の名曲「ウィ・ウィル・ロック・ユー(We Will Rock You)」の演奏に合わせ、銀のスプーンでティーカップとソーサーをたたく様子を映して映像は終わる。

 女王の映像作品出演は、2012年ロンドン五輪の開会式で、スパイ映画「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンド(James Bond)を演じる英俳優ダニエル・クレイグ(Daniel Craig)さんと共演したのに続く成功だった。どちらの映像もユーチューブ(YouTube)で記録的な再生回数を誇る。

 クレイグさんは撮影当時を振り返り、女王は「とにかく面白い」人で「何かと冗談を言いたがり、私をからかった」と米テレビに語っている。真面目な顔で写真撮影に臨むクレイグさんに対し、女王は「あら、笑ってはくれないのね。まあいいでしょう!」と言ったという。

 また、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)前英首相は、ボンドと一緒にピンクの衣装を着てパラシュートでスタジアムに舞い降りたのは女王本人だと中東の某友好国の指導者は信じているようだと伝えた際、女王が「無邪気に喜んでいたのを覚えている」と話した。