【9月15日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis)は14日、カザフスタンで開催中の「世界伝統宗教指導者会議」で、宗教の政治利用に警鐘を鳴らした。ロシアのウクライナ侵攻を支持しているロシア正教会の最高指導者、キリル総主教(Patriarch Kirill)を批判したものとみられる。

 教皇は会議で、紛争を擁護したり権力を支えたりするために信仰をもてあそんではならないと警告。「暴力を決して正当化してはならない。聖なるものは俗なるものに利用されてはならない」と述べた。

 さらに「聖なるものが権力を支援する側に回ってはならない。権力の側も聖なるものを支援してはならない」と語った。教皇の発言を受け、会場からは拍手が起こった。

 フランシスコ教皇は以前、ウクライナ侵攻について「残酷で無意味な戦争」だと非難し、和平を呼び掛けていた。これに対しキリル総主教は、ロシアは「邪悪な勢力」と戦っているとし、侵攻を擁護している。

 教皇は夏前には、総主教に対し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の「侍者」になってはならないとまで警告しており、総主教をいら立たせていた。

 ただ、ロシア正教会としては、総主教が教皇と会談する用意はあるとしている。

 今回の会議には50か国から100人近くが参加したが、キリル総主教は欠席した。(c)AFP