■要求される高い水準

 とはいえ、ダイアナ元妃は英国だけでなく世界中で愛され続けている。1997年8月31日、パリで交通事故により36歳で悲劇的な死を遂げた元妃は、時間の中に凍結保存されたかのように、多くの人々にとって聖人に近い存在となった。

 スペインから観光に訪れた21歳の女性はAFPに対し、「ダイアナ元妃は非常に重要な王女で、大衆からとても愛されていた」と話した。74歳の米国人観光客は、ダイアナ元妃が人道支援の一環でさまざまな場所を訪問したり、エイズ(後天性免疫不全症候群)患者に対して献身的な姿勢を示したりしたことを懐かしんだ。

 キャサリン妃は、2011年にウィリアム皇太子と結婚する前から、ダイアナ元妃のような存在になれるのだろうかという目で眺められていた。王室の一員となってからは、バランスを保ち、ジョージ王子(Prince George)やシャーロット王女(Princess Charlotte)、ルイ王子(Prince Louis)を育てる一方で慈善活動は慎重に選び、幸せな家族のイメージをつくり上げてきた。

 フィッツウィリアムズ氏は「キャサリン妃は育児を他人任せにせず、幼少期の子どもの成長に特別な関心を寄せてきた。その部分で自分は違うのだということをレガシー(遺産)として残したいと思っているのではないか」と推察する。

 王室関係筋は、キャサリン妃がダイアナ元妃と比較されるとの見方を否定する。同筋は報道陣に対し、「ウェールズ新公妃は称号にまつわる歴史を理解しつつも、当然のことながら、将来を見据えて自らの道をたどって行きたいと希望している」と語った。

 ケンジントン宮殿前で取材に応じた40歳の弁護士の女性は「キャサリン妃はとても品があり、美しい。王室を代表する存在だ」とたたえた。「ダイアナ元妃も好きだが、キャサリン妃も好き。比較はできないと思うし、比較すべきでもない。キャサリン妃には、自分らしくあるチャンスが与えられるべきだ」との考えを示した。

■国民的な人気

 英調査会社ユーガブ(YouGov)が今年実施した世論調査によると、王族の中で支持率が最も高かったのがエリザベス女王で、75%に達した。これに続いたのが68%のキャサリン妃だった。専門家は、キャサリン妃はダイアナ元妃と同様に、王室の人気を支える要になるとみている。

 王室史に詳しいエド・オーエンズ(Ed Owens)氏は公共テレビ局チャンネル4(Channel 4)で、「新国王夫妻と共に務めを果たすことになるウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃に注目が集まっているのは間違いない」と述べた。

 ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)のロバート・ヘーゼル(Robert Hazell)教授(政府・憲法学)は、王位継承者という「孤独な」立場に置かれるウィリアム皇太子にとって、キャサリン妃は私生活で良き相談役になるだろうとみている。公的な立場としては、「若き皇太子夫妻が、若い世代における王室人気の維持に一役買うことになる」との見方を示した。(c)AFP/Toni CERDÀ