【9月15日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の死去を受けて、ウィリアム皇太子(Prince William)の妻のキャサリン皇太子妃(Catherine, Princess of Wales)は「プリンセス・オブ・ウェールズ(Princess of Wales、ウェールズ公妃)」の称号を授かった。その称号は、皇太子の母で、今なお国民の王室観に影響を及ぼし続けているダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)が名乗っていたものだ。キャサリン妃はいや応なく、「スーパースター」と比較されることになる。

 チャールズ国王(King Charles III)と1992年に別居した後もダイアナ元妃が住み続けたロンドンのケンジントン宮殿(Kensington Palace)前では、キャサリン妃が直面するであろう課題について、市民が口々に語ってくれた。

 73歳の男性は「ダイアナ元妃が忘れ去られることはない。キャサリン妃は、ダイアナ元妃が残したものを継承していくと信じたい」と話した。

 在位70年に及んだエリザベス女王の死去を受け、英国は新時代を迎えたと受け止められている。

 だがチャールズ国王の即位は、別の象徴的な変化の到来を告げるものともなった。ダイアナ元妃が死去して25年後に、「ウェールズ公妃」が復活したのだ。ダイアナ元妃の前にこの称号を名乗っていたのは、国王になる前のジョージ5世(George V)の妻、メアリー妃(Mary of Teck)までさかのぼる。1901~10年のことだ。

■社会的弱者を支援

「プリンス・オブ・ウェールズ(Prince of Wales、ウェールズ公)」の称号は、王位継承者となる国王の長男に与えられる。チャールズ国王は、9歳だった1958年にこの称号を授けられ、国王に即位した翌日にそれをウィリアム皇太子に引き継いだ。ウェールズ公の妻が、ウェールズ公妃だ。

 チャールズ国王は9日、「ウェールズ公と公妃は、社会的な弱者を表舞台に導き、不可欠な支援の手が差し伸べられるよう、国民の議論を促したり先導したりしていくだろう」とエールを送った。

 カミラ王妃(Queen Consort Camilla)も、チャールズ国王と2005年に結婚して以降は、ウェールズ公妃を名乗る権利があった。しかし、ダイアナ元妃の印象が強過ぎた。そのため、チャールズ国王の当時の第2称号に基づき、「コーンウォール公爵夫人(Duchess of Cornwall)」と名乗った。

 英王室に詳しいリチャード・フィッツウィリアムズ(Richard Fitzwilliams)氏は英紙ガーディアン(Guardian)に対し、「キャサリン妃はカミラ王妃とは立場が異なる上、状況も変化してきており、ダイアナ元妃との比較問題は出てこないだろう」と語った。