【9月15日 People’s Daily】中国中部の山西省(Shanxi)大同市(Datong)にある雲崗石窟に足を踏み入れると、数人のスタッフが洞窟の一つで近距離撮影測量や、画像データ収集に追われていた。洞窟内では、高画素デジタルカメラ、スタンドスキャナー、3次元(3D)レーザースキャナーなどで各種データを収集している。「今、われわれが行っている雲崗石窟のデジタル情報収集作業は、雲崗石窟の長期的な保全のための重要な支えとなる」と、雲崗研究院党委員会の張綽(Zhang Zhuo)書記は述べた。

 雲崗石窟は北魏(386~534年)の時代に開削され、1500年以上の歴史がある。石窟文化財は開放的な保存環境にあるため、風化の影響は避けられない。「現在進行中のデジタル化作業は、雲崗石窟の正確な情報、永久保存と利用を実現するための基本的なプロジェクトだ」。張書記は、雲崗石窟の情報データを収集する過程で、石窟や彫像の微細な損傷や潜在的なリスクを特定することは、タイムリーな修復や除外に役立つ。そして、収集した高精度データと情報をデジタル処理し、データベースの中で雲崗石窟を「復元」し、石窟の保護、修復、さらには再建のための強力なデータとイメージの支えとなると紹介した。

 雲崗石窟はここ数年、保護・整備、洞窟調査、監視システムの建設、防水工事、文化財のデジタル収集、3Dプリントなどのプロジェクトを相次いで実施してきた。デジタル技術の幅広い応用により、雲崗石窟の保護は「荒い」から「正確」に至るまで、文化財保護と文化研究が両立できるようになった。

 デジタル技術の応用は、石窟の修復の強力な支えとなっただけでなく、雲崗石窟の壮大さと素晴らしさをより多くの人々に間近で体験してもらうことにも役立っている。

 雲崗石窟は、洞窟のデジタル化に基づき、代表的な洞窟のデジタルモデリングと3D情報システム構築プロジェクト、デジタル収集プロジェクトなどの順次実施を経て、完成した。現在、雲崗研究院は浙江大学(Zhejiang University)、武漢大学(Wuhan University)などの大学と共同で、3Dプリント技術を利用し、第3、第12、第18窟の実物大の複製に成功している。うち第3、第18窟の複製窟は、それぞれ山東青島文化伝媒広場と北京建築大学(BUCEA)に設置され、雲崗の対外宣伝のランドマークとなっている。第12窟は分解・組み立て・輸送が可能となり、浙江大学と上海宝竜美術館での展示が終わり、今年は深セン(Shenzhen)で展示予定だ。

 雲崗研究院デジタル化保護センターの寧波(Ning Bo)主任は、「雲崗石窟の3Dプリントと積み木式組み立ては、超大規模文化財の実物大の複製の世界の先例を作り、移動不能な文化財の移動展示の探求を大きく前進させ、雲崗石窟に中国から世界へと堅実な一歩を踏み出させた」と述べた。

 同時に、デジタル技術の文化財保護・伝承における優位性を発揮し、雲崗石窟は、バーチャルリアリティー(VR)、デジタルなどのハイテク手段を駆使することで、文化遺産を現場からオンラインにまで延伸させ、千年にわたる石窟芸術を「クラウド」によって、世界へと展開させた。本来、移動不能な石窟芸術が、「若々しい」姿で「生き、動く」のだ。(c)People’s Daily/AFPBB News