【9月16日 People’s Daily】渤海湾はかつて中国四大漁場のひとつに数えられていた。かつて「天然の魚池」と呼ばれたこの海は、乱獲と深刻な汚染によって生物多様性が損なわれてきた。中国農業農村省が発表したデータによると、現在渤海の魚の産卵数は40年前のおよそ半分にすぎず、資源の豊富さは当時の1/10以下だ。

 渤海の生物多様性のレベルが低下している原因はさまざまだが、海洋生態環境は海洋生物多様性の基礎だ。「海洋生態環境は海洋生物多様性の基盤であり、良い基盤を築いてこそ生物多様性のレベルを向上させることができる」と、国家海洋局天津海洋環境観測センターステーション汚染観測ステーション長の屠建波(Tu Jianbo)氏は分析している。

 2018年、海洋の生物多様性を高め、海の生態環境を守るための渤海の総合管理の戦いが始まった。天津市(Tianjin)は「ブルーベイ」整備・復元計画を打ち出し、531.87ヘクタールの沿岸湿地を復元し、8.3キロメートルの海岸線を整備・復元し、湿地の生態系機能を回復させるとした。2021年には、天津市近海の良好な水質の割合は、2017年より53.8ポイント高い70.4%に達した。海鳥に生息や餌探しの場所を与えるため、湿地・沿岸域では、シチメンソウ (七面草)、葦(アシ)などの植物を植え、営巣しやすくした。

 渤海の総合管理の戦いは終りを告げ、天津近海の生態系劣化の傾向は基本的に抑制された。

 生物多様性の回復をさらに促進するため、天津市は毎年渤海湾に水産動物の種苗を放流し、個体群の回復や増加、水域の群落構造の改善と最適化を図っている。今年、天津市は20種10億匹の魚、エビ、カニ、貝などの稚魚を渤海湾と内陸の重要な漁業水域に放流した。また、同市は3か月の三伏(夏の最も暑い時期)の禁漁期を4か月に延長し、海の総漁業生産量は2015年に比して25%減少した。

 2022年6月6日、「全国放魚デー」に、天津渤海湾増殖・放流活動は濱海新区中心漁港の外海で行われた。この日、合計100万匹以上の稚魚と種エビが放流された。「これらの水産動物の種苗のすべては天津水産研究所が自ら養殖したものだ」と、同研究所の劉克奉(Liu Kefeng)副所長が紹介した。

「放流は種まきや植え付けと同じで、良好な育種が大前提だ」。天津市農業農村委員会科学教育処の高印福(Gao Yinfu)副処長は、天津市は水産動物の種苗の養殖・生産、母体の更新、遺伝子育種の研究開発、新種の導入と普及、遺伝資源の保護などを主導とする漁業種苗業事業に全力で取り組み、多くの種苗業企業、専門組合、大規模な繁殖専門者を育成してきたと述べた。同市の主な種苗生産種は、海水魚、淡水魚、エビ、カニなど有名で優れた30種に及び、養殖種の構造の改善、漁業生産の効率化、漁業遺伝資源の保護において重要な役割を担っている。

 高副処長は、近年、天津は、増殖・放流の実施に加え、海面養殖場の建設などの措置を通じ、海洋生物の生息環境の改善を進めていると語った。現在、天津は、国家レベルの海面養殖場のモデル区を建設し、3万以上の人工魚礁を置き、約13平方キロメートルの魚礁面積を構築しており、海洋炭素吸収源、水の浄化効果は顕著だという。(c)People’s Daily/AFPBB News