生態資源が田舎を豊かにする 中国
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【9月15日 People’s Daily】真夏の中国南東部、福建省(Fujian)寧徳市(Ningde)霞浦県(Xiapu)の下滸海域で、昆布でいっぱいの太い荒縄が半自動収穫船のクレーンに引っ張られてゆっくりと昇っていく。
「この2年間は価格が良く、生産量もさらに30%増え、以前に比べて大幅な増収になった!」高く垂れ下がる昆布を見上げながら、山淼合農業専門合作社(協同組合)の責任者である陳文釵(Chen Wenchai)さんは笑みを隠せない。
「水質が良くなったのだから、当然水産物も豊作になる」と、霞浦県海洋・漁業局の陳宗順(Chen Zongshun)副局長が豊作の秘訣(ひけつ)を語る。
海域面積2万8900平方キロメートルの霞浦県は、福建省の沿岸でトップの県だ。ユニークな海洋資源に恵まれ、海面養殖面積が42万ムー(約280平方キロメートル)、漁業従事者が26万人以上と、全人口の50%近くを占めている。
しかし、かつての霞浦海域の生態環境は、沿岸養殖の無秩序な拡大により、木製網いけすや発泡スチロールを主体とした養殖施設から発生する漂流ごみにより、楽観できるものではなかった。
2018年7月より、霞浦県は海面養殖の総合的な整備を実施してきた。また、養殖業の科学的管理と法的保護を強化するため、同県は2019年から海面養殖のグリッド管理の構築に着手し、専任のグリッド担当者が海域管理、養殖生産、気象警報、緊急処理などの分野で養殖業者にサービスを提供してきた。
呼びかけに応え、2019年9月、陳さんは200以上の木製網いけすをプラスチック製のものに交換した。「改善後、海水はすっかりきれいになり、グリッド担当者の監督管理のおかげで、収穫に自信がある」と述べた。2021年には、霞浦県の水産物総生産量は47万9000トン、生産額は127億6000万元(約2647億円)となり、いずれも前年比約3.2%増だった。
また、水産物生産とともに、霞浦の海の景色の価値も向上している。牙城鎮梅花村には、山を背に海に臨む民宿がいくつも散らばって並び、その間を数人の観光客がそぞろ歩いている。2018年より、霞浦県は生態資源と山海資源を頼りに、全域観光を大いに発展させ、民宿観光発展の新しい道を探り、沿海景勝地の民宿集積の発展を促進させている。
「最近、本当にお客さんが増えてきた。想像できますか?昔は誰もここに来たがらなかったんですよ」。民宿のシェフ、彭祖貴(Peng Zugui)さんは「山の上の土地は貧しくてイモしか植えられず、村の道は通っていないし、山の上り下りはすべて足に頼るしかなくて、村人はみな町に移りたいと言っていた」と語った。
村道の整備、付帯施設の充実、民宿の開発、観光スポットの発掘。村は、活気ある「ネット人気村」へと生まれ変わった。民宿の発展が人気をけん引し、収益をもたらしたのだ。「民宿で働くと給料がいい。月に最低でも8000元(約16万6000円)は稼げる」。彭さんは、この2年間で、近くの多くの荒れ地に果物やお茶を植え、「生活環境が良くなり、観光も盛んで、誰もがビジネスチャンスを求めて戻ってきたがっている」と述べた。
現在、霞浦県には、さまざまなタイプの農村民宿が400軒以上あり、2万人近い人々の雇用を直接的に呼び込んでいる。
「海面養殖と全域観光という二つの人々を豊かにする特殊産業を成長させ、海洋経済が霞浦県の質の高い経済発展を促進し、共同繁栄を促進するための強力な一手にしたい」と、霞浦県委員会書記である郭文勝(Guo Wensheng)さんは語る。(c)People’s Daily/AFPBB News