【9月18日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の死は、それに伴う君主交代とともに、スコットランド独立論を再燃させる引き金となっている。

 スコットランドでは11日、同北東部にあるバルモラル城(Balmoral Castle)で死去した女王のひつぎが中心都市エディンバラのホリールード宮殿(Palace of Holyroodhouse)に運ばれる様子を多くの人が何時間も立ったまま見守った。その前日には、チャールズ国王(King Charles III)の即位が正式に宣言されている。

 しかし、スコットランドは共和主義的な傾向が強く、エディンバラの目抜き通りに集まった群衆からは罵声も聞こえた。亡き女王への称賛を口にした人の多くも、スコットランド独立の願いとは切り離して考えている。

 スコットランド人ジャーナリストのアレックス・マッシー(Alex Massie)氏は、英紙タイムズ(Times)に「スコットランド人の中にはこの一時代の終わりを、新たな出発にうってつけの瞬間だと考える人もいるだろう」と記した。

■スコットランドの女王

 スコットランドで2014年に行われた住民投票では、英国からの独立は否決された。独立を目指す自治政府与党・スコットランド民族党は、新たな住民投票の実施は望んでいるが、共和制を求めてはいない。

 前回住民投票を率いたアレックス・サモンド(Alex Salmond)前自治政府首相は「スコットランド女王」という言葉を生み出し、チャールズ国王と親密な関係を築いた。

 しかし、いくらチャールズ国王がスコットランドの寄宿学校で教育を受け、スコットランドに複数の住居があり、スコットランドの伝統衣装キルトを好むとはいえ、君主交代は絆にほころびを生む危険性をはらんでいる。

 ベテランジャーナリストのアンドリュー・ニール(Andrew Neil)氏は英大衆紙デーリー・メール(Daily Mail)で「チャールズ国王もエリザベス女王と同じようにスコットランドを愛しているはずだ。だが、チャールズ国王にはエリザベス女王が持っていた権威がない」と指摘する。