【9月15日 People’s Daily】中国東北部の黒竜江省(Heilongjiang)肇東市(Zhaodong)に住む75歳の王桂英(Wang Guiying)さんは、1990年代に建設された団地に住んでいる。自宅では都市ガスが整備されておらず、プロパンガスを使っているが、「年をとって、ガスボンベを交換するのがつらくなってきました」と嘆く。

 そんな王さんに、朗報が舞い込んだ。昨年から肇東市で古い団地に都市ガスのパイプライン施設工事が始まった。中国政府は2025年末までに「都市パイプラインの建設と改修を基本的に完了する」という計画を立てている。王さんの団地でも工事が始まっており、王さんは「パイプラインが完成する日を本当に心待ちにしています」と笑みを浮かべる。

 浙江省(Zhejiang)湖州市(Huzhou)で飲食業を営む陳さんも、政府の計画に大きな期待を寄せている。陳さんの店は1階にあり、多くの水を使う仕事のピーク時は水道管の水圧が不安定になり、2階の住民に迷惑をかけることがある。陳さんは「水道管の給排水システムが改善されれば、安心して仕事に打ち込めます」と期待する。

 都市の上下水道、ガス、暖房、電力供給などのパイプラインは、都市の「血管」であり「生命線」である。山東省(Shandong)済南市(Jinan)は屋内ガス設備の安全レベルを向上させるため、6月にガス設備の一括更新を開始。220万人の住民を対象に、2年間で5億元(約103億円)近くを投入する。

 同済大学(Tongji University)機械エネルギー工学学院ガス工学研究所の秦朝葵(Qin Chaokui)教授は「都市ガスの管理技術は地域によって異なっているのが実情だが、政府の計画によりパイプラインネットワークの安全管理を強化できる」と指摘。清華同衡計画設計研究院幹部の董淑秋(Dong Shuqiu)氏は「これまで中国の都市パイプラインの材質や設計、工事の基準は低かったが、近年は大幅に改善された。パイプラインをアップグレードすることは、都市生活の安全性や快適性を向上させる」と話している。(c)People’s Daily/AFPBB News