【9月13日 People’s Daily】中国は、世界で最も豊富な生物資源、最も広範なライフ・ヘルス消費市場を有する国の一つで、バイオ産業のセクター種別、システムも整っており、バイオエコノミー(生物経済)の発展加速のための好条件が備わっている。

 科学技術のブレークスルーも相次いでいる。アルテミシニンのノーベル賞の受賞により、中国は自然科学分野で「無から有への突破」を達成し、新薬の開発数は世界第2位になり、遺伝子検査、スーパーハイブリッド米、人工デンプン、ワクチンなどの分野で比較優位が形成されている。

 産業革新は引き続き活発だ。近年、ハイテク企業向けの株式市場「科創板」の上場企業のうち、バイオ企業は1/3を占め、「第13次五か年計画(2016〜2020年)」期間中の、一定規模以上の製薬企業の研究開発投資の年平均成長率は約8%だった。現代のバイオ技術を駆使した発酵製品で中国は世界シェアの70%以上を占めている。

 地域集積効果は一目瞭然だ。京津冀(北京・天津・河北)、長江デルタ、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオベイエリア)、成渝(成都市・重慶市)地区ダブルシティー経済圏は、バイオエコノミーイノベーションのハイランドとなっている。中国の上場企業の約80%、国家第一類新薬の90%、革新的医療機器の特別認可製品の85%が、これらの地域から供給されている。

 このほど、中国初のバイオエコノミーに関する5カ年計画である「『第14次五か年計画』バイオエコノミー発展計画」(以下、「計画」)が正式に発表された。バイオエコノミーは幅広い産業分野を対象としており、その目標を達成するためには、焦点を絞る必要がある。そのために、「計画」は「ヘルスケア」「バイオ農業」「バイオエネルギー・バイオ環境保全」「バイオインフォマティクス」の4つの基幹産業を育成・強化することを明確に打ち出している。

「計画」は、健康産業の分野では、医薬品、ワクチン、先端医療技術・設備、バイオマテリアル(医用材料)などの方向性に焦点を当て、独自のイノベーション能力を向上し、ハイエンドのバイオ医薬品・設備のサプライチェーンの保障レベルを強化すること、農業産業の分野では、農業近代化のためのバイオ農業を発展させ、バイオ育種、バイオ肥料、バイオ飼料、バイオ農薬などの方向性に焦点を当て、いくつかの新世代の農業用バイオ製品を発売するとともに、遺伝資源の保護、開発、利用の産業システムを改善することを打ち出した。

「計画」は特に、「人工タンパク質」などの新食品の研究開発を模索し、食品産業のレベルアップを繰り返し、伝統的な養殖業がもたらす環境資源への負荷を軽減することを明記している。グリーン・低炭素のバイオマスによる代替・応用や、重病に対するスマート補助による意思決定インテリジェンス・アルゴリズムなどのバイオエネルギーとバイオ環境保全、バイオインフォマティクス分野に向けた新しいシーンも、「計画」で提案された開発の焦点となっている。

 バイオエコノミーの発展のためには、「リスクを必ずコントロール可能なものとすること」が重要な原則の一つとなっている。このため、「計画」では、バイオセーフティーシステムの構築を加速する一方、生物資源の保護と利用を積極的に推進し、国家生物資源共有システムを確立し、生物資源の制御・共有と安全な交換を促進し、中国における生物データ資源の統一的な総括・提出と共有の実現を明記している。(c)People’s Daily/AFPBB News