【9月12日 People’s Daily】中国中部の河南省(Henan)鄭州市(Zhengzhou)と西部の重慶市(Chongqing)を結ぶ鄭渝高速鉄道の襄陽東ー万州北区間が6月に開通した。全線開通により北京ー重慶間は最速6時間46分、鄭州ー重慶間は4時間23分で到達できるようになった。

 鄭渝高速鉄道は複雑な地質条件のルートを通過している。襄陽東ー万州北区間で橋とトンネルが占める割合は98%に上り、工事は非常に難航を極めた。

 重慶の小三峡トンネルは、最速350キロで通過するアジア最長の単孔複線トンネルだ。トンネル全線に沿って152の吐水口があり、1日の最大流入水量は16万8000立方メートル。標準プールの貯水容量60個分に相当する。工事の際は潜在的なリスクを排除するため、複数の専門チームが地質レーダー、水平掘削などの技術に取り組んだ。水源保護区では水中に橋脚を設置せず、トンネルを単孔複線形式にすることで掘削回数を減らすなど、生態環境への影響を最小限に抑えた。

 高速鉄道の開通は、人、モノ、情報、資金の流れを効率化する。河南省で印刷技術会社を経営する高建心(Gao Jianxin)さんは「以前は四川省(Sichuan)などに行くときは西安市(Xi’an)を経由する必要がありましたが、今では直接アクセスできるようになりました。南西部地域はわが社の重要なビジネスエリアであり、高速鉄道の開通は販売の拡大につながります」と喜びの声を上げる。

 鄭渝高速鉄道の全線開通により、新たなプロジェクトが展開されている。重慶市雲陽県(Yunyang)では、四川省の農業投資会社が15億元(約309億円)を投資してスマートコールドチェーン物流拠点を建設。重慶市万州区(Wanzhou)では、新エネルギー産業など20の大規模プロジェクトが始まった。万州区経済情報委員会の汪海雲(Wang Haiyun)主任は「高速鉄道は中部および東部地域と成都(Chengdu)・重慶地域の産業のアップグレードを加速させている」と歓迎する。

 観光旅行で人気の三峡ツアーはこれまで船が主体だったが、これからは高速鉄道でのアクセスが可能となる。重慶市巫山県(Wushan)で旅行会社を営む李雪峰(Li Xuefeng)さんは「船による三峡ツアーでは、観光客は巫山県を通過するだけでした。今後は高速鉄道利用者が滞在することを期待しています」と話す。巫山県ではホテルや民泊の改修や新設が進み、「おもてなし」の準備を整えている。(c)People’s Daily/AFPBB News