【9月10日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II、96)は6日、衰えた様子ながらも笑顔でリズ・トラス(Liz Truss)氏と面会し、同氏を新首相に任命した。だがそのわずか2日後の8日、英王室は、医師が女王の健康を「懸念している」とする異例の発表を行った。

 英王室は午後0時32分(日本時間同8時32分)に行った発表で、女王が滞在先のスコットランド北東部バルモラル城(Balmoral Castle)で「医療監視下」にあるが、「平静を保っている」と説明。その直後、バルモラルの地所内に滞在していた王位継承者のチャールズ皇太子(Prince Charles)とカミラ夫人(Camilla, Duchess of Cornwall)が同城に到着したと発表された。

 長女のアン王女(Princess Anne)もスコットランドに滞在していたため、女王が死去する前に城に到着したとみられる。チャールズ皇太子とアン王女はいずれも、同日午後に亡くなった女王の最期に立ち会ったもようだ。

 他の王族はロンドンから駆け付けたが、間に合わなかった。チャールズ皇太子の長男で王位継承権第2位のウィリアム王子(Prince William)に加え、女王の次男アンドルー王子(Prince Andrew)、三男エドワード王子(Prince Edward)、そして女王と特に親しかったエドワード王子の妻ソフィ妃(Sophie, Countess of Wessex)は、空軍の特別機でスコットランドのアバディーン(Aberdeen)に到着。

 一行はそこからウィリアム王子の運転する車で80キロ離れたバルモラル城に向かったが、到着したのは午後5時すぎだった。トラス首相は午後4時半、女王が死去したとの報告を受けていた。

 一方、チャールズ皇太子の次男ヘンリー王子(Prince Harry)は、ロンドンからバルモラル城へ向かっている途中だった。ヘンリー王子の広報担当者は当初、妻のメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)もスコットランドに向かうと発表していたが、実際に女王の元に向かったのは王子のみだった。王子は、王室が女王の死去を公式発表した午後6時半にはまだ飛行機で移動中で、城に到着したのはかなり後だった。

 BBCのニコラス・ウィッチェル(Nicholas Witchell)王室担当特派員は、王室の批判を繰り返してきたメーガン妃が王族に「温かく迎えられない」ことを懸念して女王の元へは向かわなかったのではないかと指摘した。(c)AFP/Helen ROWE