【9月12日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)が死去し、チャールズ国王(King Charles III、73)が即位したことを受けて、国王の長男ウィリアム王子(Prince William、40)が王位継承順位1位の皇太子となった。

 チャールズ国王の年齢を考えると、その在位期間はエリザベス女王よりも短くなるとみられることから、ウィリアム皇太子は将来の国王として強い責任感を抱きながら成長してきた。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)のロバート・ヘーゼル(Robert Hazell)教授(政府・憲法学)は、チャールズ国王が年齢を重ねるにつれ、ウィリアム皇太子が公務でより目立つようになるとの見方を示した。

 ヘーゼル教授はAFPに対し、「ウィリアム皇太子はより多くの職務を引き受けなければならず、王室の公務の担当割合が増えていくことに疑いの余地はないとみている」と述べた。

 ウィリアム皇太子は、これまであまり注目を集めずに静かに暮らしてきた。妻キャサリン皇太子妃(Catherine, Princess of Wales)と共に3人の子どもの世話など家事を積極的に引き受けており、国民的な人気を集めている。

 夫妻は、メンタルヘルス問題でも積極的に活動。また、環境保護にも熱心で、歴史ある王室の中でより現代的な側面を示してきた。

 王室関連の著作が多いフィル・ダンピアー(Phil Dampier)氏は、「ウィリアム皇太子とキャサリン妃は協力し合い、素晴らしい国王と王妃になるだろう」と予想する。

■将来の王として誕生

 1982年6月21日に誕生した時から、将来国王となる運命を背負ってきたウィリアム皇太子。ただ、教育面では2年後に誕生したヘンリー王子(Prince Harry)と分け隔てなく育った。

 10歳の時に両親が別居し、1996年には離婚。15歳だった翌年、母ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)を自動車事故で失った。母の葬儀では、心痛を耐え忍ぶ兄弟の姿があった。

 兄弟は亡き母について語る際、常に思慕の念を口にした。ウィリアム皇太子が青年になると、金髪のその姿はダイアナ元妃をほうふつとさせ、格好の被写体となった。

 2021年の独立調査結果で、BBCが1995年に放送したダイアナ元妃のインタビューでの取材交渉で元妃を欺いていたことが判明した際には、母を積極的に擁護した。

 また、ヘンリー王子が王室内の人種差別を告発した時には、王族を擁護し疑惑を強く否定するなど、臆することなく自身の考えを表明してきた。

 ヘンリー王子は、父と兄が硬直化した体制の中で「とらわれの身」になっていると指摘したが、これに対しウィリアム皇太子は公には反応を示していない。ただ、王室が将来も存続していくために、信頼できる人物として国民に受け止められる必要性を理解していることは明らかだ。

 メディアの踏み込んだインタビューに応じたのはごくわずか。写真撮影に定評のあるキャサリン妃と共に、ソーシャルメディアを通じてイメージのコントロールに努めている。