【9月11日 People’s Daily】2020年7月1日、改正後の「中華人民共和国森林法」が施行された。この2年間、司法当局は森林法が定めた「生態優先、保護優先、保護育成の結合、持続可能な発展」の原則を堅持し、森林生態環境のための強固な司法保護の障壁の構築を続け、法治の力で緑豊かな森林を守ってきた。

 2019年以降、全国の各級法院(裁判所)は、森林資源に関わる一審事件40万3989件を結審させた。そのうち民事事件は26万8180件だった。今年6月14日、最高人民法院(最高裁)は「森林資源民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」(以下「解釈」)と10の関連典型事例を発表し、生態環境法の適用規則体系の改善や、法律に基づく森林資源の科学的保護と合理的利用の促進に注力してきた。

 近年では、「異地補植復緑(省をまたいだ再植林・再緑化)」「代替修復」といった革新的な措置も登場している。貴州省(Guizhou)では、検察当局が刑事犯罪の評価システムに民事賠償を組み入れ、「罰として植樹させる」措置を実施することにより、容疑者と被告人による再植林と再緑化を通じて生態環境の修復を促している。吉林省(Jilin)長春(Changchun)林区中級法院は2018年以来、計164件の「再植林・再緑化」協定を締結し、886.74ムー(約59万平方メートル)の植林を実施した。

「森林法は『保護・育成の結合』を明確にしており、これに対し、森林環境要素の特性に立脚し、修復方法を革新し、科学的かつタイムリーに森林生態系機能の回復を図る必要がある」。西南大学(Southwest University)資源環境学院の謝徳体(Xie Deti)教授は、司法機関が修復的司法の理念を持ち、行為者を生態環境の「破壊者」から「修復者」への切り替えに導き、司法の法的効果、社会的効果、生態的効果の統一が可能になったと述べた。

 全国人民代表大会常務委員会法制工作委員会経済法室の王翔(Wang Xiang)副主任は、改正後の森林法が施行されて2年、生態文明の建設、森林資源の保護、育成、合理的利用の法的整合性が保障され、経済・社会の発展と森林の生態保護の調和が推進されたと評価した。

 炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルの実現は、資源環境制約の主要な問題を重点的に解決し、持続可能な発展を実現するための重要な措置となる。森林は、陸域生態系の中で最大の炭素プールとして、炭素固定や吸収源の増加など、重要な生態学的機能を担っている。「解釈」では、当事者が森林生態系への損害賠償責任を果たすための代用として、認証された森林炭素吸収源の引き受けを認めることを明確にしている。司法実践の中で、福建省(Fujian)や貴州省などの地域において、侵害者が森林生態系への損害賠償責任を果たす代わりに、自主的に森林炭素吸収源を引き受ける事例がある。

「現在、中国は森林炭素吸収源を国家認証自主的排出削減量プロジェクトとして炭素排出権取引システムに組み入れ、全国統一の炭素排出権取引市場を構築している」。北京林業大学(Beijing Forestry University)の林金星(Lin Jinxing)教授は、近年、司法機関の一連の措置により、森林炭素吸収源の取引規則の改善を続け、森林生態系の炭素吸収能力を強化し、森林生態系の炭素吸収量を増加させ、グリーン低炭素循環経済の持続可能な発展に貢献してきたと述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News