【9月8日 AFP】オランダ絵画の巨匠ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)の名作「牛乳を注ぐ女(The Milkmaid)」の背景に当初、水差しを置く棚と籠が描かれていたが、後に塗りつぶされていたことが判明した。アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)が8日、発表した。来年開催が予定されている史上最大級のフェルメール展を前に、新事実を明らかにした形だ。

「牛乳を注ぐ女」では、装飾のない白い壁の前に女性が立ち、その明るい黄色と青い服が際立っている。だが最新スキャン技術によって、フェルメールは当初、女性の背後に他のモチーフを描き込んでいたことが分かった。

 同館のゴレゴール・ウェーバー(Gregor Weber)氏は記者会見で「フェルメールのイメージと異なる、新しい面が明らかになった。驚くべきことだ」と述べた。

 ウェーバー氏は、フェルメールが修正を加えたことにより、有名な牛乳を注ぐ女性の姿が「より大きな存在感を放つ」ようになったとみている。

 ウェーバー氏によると、こうした試行錯誤は「真珠の耳飾りの少女(Girl with a Pearl Earring)」などの後年の作品群に影響を及ぼしており、フェルメールが「引き算がより効果的だということを学んだ」ことが示唆されているという。

 フェルメールは1632年に生まれ、75年に死去。オランダ絵画の「黄金時代」にデルフト(Delft)で質素な暮らしを送っていたが、その人生は謎に包まれている。

 来年2月10日から6月4日まで開催されるフェルメール展では、既知の約35作品のうち、「真珠の耳飾りの少女」を含む27作品が展示される。チケットは、同館ウェブサイトで8日から発売される。

 タコ・ディビッツ(Taco Dibbits)館長は「これほど多くのフェルメール作品が一堂に集められるのは最初で最後になるだろう」と述べている。(c)AFP/Danny KEMP