【9月8日 AFP】国連開発計画(UNDP)は8日、新型コロナウイルスの流行など前例のない問題が重なり、平均余命や教育・生活の水準などに基づき算定する人間開発指数(HDI)が2年連続で低下したとする報告書を公表した。

 HDIは約30年前に算出が始まって以来、着実に上昇基調をたどってきたが、2020年、2021年と2年連続で初めて低下に転じた。

 アヒム・シュタイナー(Achim Steiner)総裁はAFPとのインタビューで、HDIの低下は「より早く死に、教育レベルが下がり、収入が減ったことを意味する」と語った。

 報告書は、HDIが低下に転じた主因は新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)にあると指摘。さらに政治・経済面、気候変動関連の危機も重なったため、回復余力がなくなったとしている。

 報告書によると、世界の9割以上の国でHDIは低下した。

 シュタイナー氏は、最新指標にはロシアのウクライナ侵攻に端を発した食糧・エネルギー危機の影響はまだ反映されていないと説明。「2022年の見通しが暗いことに疑いの余地はない」と話した。

 DHIの構成要素では、2019年に73年だった世界の平均余命が2021年には71.4年に縮んだのが目立つ。

 報告書の筆頭執筆者ペドロ・コンセイソン(Pedro Conceicao)氏は、平均余命が短くなったのは「これまでにない衝撃」だとしている。(c)AFP/Amelie BOTTOLLIER-DEPOIS