【9月7日 AFP】インド中部で、トラに襲われた1歳3か月の息子を守るため、母親が素手で立ち向かうという出来事があった。当局が7日、明らかにした。

 マディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州に住むアルチャナ・チョウダリーさんは4日夜、息子に用を足させるために自宅の外に出た。

 現地当局者によると、そこにバンダウガル・トラ保護区(Bandhavgarh Tiger Reserve)から出てきたとみられるトラが襲い掛かった。トラは男児の頭にかみつこうとしたが、母親がトラに飛び掛かって阻止した。

 トラは繰り返し男児を奪い取ろうとしたが、母親の叫び声を聞いた近隣住民が急いで集まってくると、森の中に消えたという。

 母親は両肺に穴が開き、腹部も負傷した。息子は頭部に深い傷を負った。

 当局者は「母親は病院に搬送された。一命を取り留め、療養中だ。男児も回復している」と述べた。

 現地紙タイムズ・オブ・インディア(The Times of India)は、トラを保護区に戻すための捜索活動が行われており、トラが出没した村の住民に対しては、夜間の外出を控えるよう指示が出ていると伝えている。

 南アジアでは都市部の拡大に伴い森林が失われ、人間が動物に襲われる事例が増えている。インド政府の統計によると、2014~19年に225人ほどがトラに襲われ死亡している。

 インドには、世界のトラの約7割が生息している。個体数は、2018年の調べで2967頭だった。(c)AFP