動画:eスポーツで障害の固定観念を打ち破れ
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■特別仕様のコントローラー
進行性筋ジストロフィー患者の畠山さんは、6歳のころから車いすで生活している。
格闘ゲームはずっと好きだったが年を追うごとに筋力が低下し、ついにはコントローラーを握れなくなってしまった。
打ちのめされた畠山さんは、一度は格闘ゲームを諦めた。6年がたった頃、顎で操作できる特別仕様のコントローラーを友人とともに設計した。昨年のことだ。動かせる指先でコンピューターのキーボードも使いながらゲームを始めると、すぐに感覚がよみがえったという。
今では障害のある他のプレーヤーのコーチも務め、複雑なコンボや個々のキャラクター対策を教えている。
「もし格闘ゲームをやっていなかったら、困難にぶつかったときに解決策を探そうとしなかったと思う」と畠山さんは振り返る。
普段は呼吸補助器を装着し、電動車いすで生活をしている畠山さん。「ゲームの中だけは本当に自由に動くことができて、格闘ゲームでキャラを操作するために不自由さを感じることはほぼない」と話す。
eParaの加藤さんは、障害のあるゲーマー向け市場の拡大を確信している。「聴覚障害の人でも全盲の人でも遊べるように、プレーヤーが増えれば企業が対応するようになっていく」
■「一緒のルール、一緒の大会」
加藤さんは、eスポーツを通じて障害のある人たちの才能を知ってもらいたいと思っている。日本では「障害者のことを知る機会が少ない」と感じている。
小眼球症のために生まれつき目が見えない北村さんは、障害者は「助けなければいけない」存在だという考え方を変えるためにeスポーツが役立つと言う。
「パソコンを使うのはめっちゃ得意ですよ」と北村さん。「目が見える人よりできるところもある」
「支援されるだけじゃなく(中略)場合によっては協力できることもある。お互いに協力し合えるんだよ」
五輪の正式な種目として導入されることが期待されるeスポーツ。しかし、オリンピックとパラリンピックとを分ける必要性について、加藤さんは首をかしげる。
「車いすであろうとなかろうと、一緒のルール、一緒の大会でプレーできる」
そこがeスポーツの面白いところだと、力を込めた。
映像は5~7月に撮影。(c)AFP/Andrew MCKIRDY