【9月6日 AFP】暗号資産(仮想通貨)市場で、ビットコイン(Bitcoin)に次ぐ時価総額2位のイーサリアム(Ethereum)は、電力を大量に消費することから環境への負荷が大きいとして非難されてきた。だが今月行うブロックチェーン技術の刷新により、環境負荷の削減を目指そうとしている。

「マージ(Merge)」として知られているこのシステム移行の背景と、価格の安定化や消費電力の削減を実現する方法をまとめた。

■なぜ暗号資産はエネルギーを大量消費するのか

 ビットコイン、イーサリアムをはじめとする暗号資産の取引を承認する作業は「マイニング(採掘)」と呼ばれる。倉庫のような巨大なスペースに高性能なコンピューターを大量に用意し、複雑なデータ処理を行う作業だが、その際、大量のエネルギーが消費されるため、電気料金の安い国や地域を拠点とする場合が多い。

 暗号化されたコードがコンピューターネットワークでやりとりされる際に発生する「トランザクション」と呼ばれる取引データは、安全性の高い分散型の台帳技術「ブロックチェーン」で記録される。

 イーサリアムがこれまで採用してきた「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」と呼ばれる仕組みでは、マイニングに必要な計算にいち早く成功した人がサイバー通貨で報酬を受け取るが、大量のエネルギー消費を伴う。

■イーサリアムが人気の理由

 イーサリアムの価格は今年に入り、55%と大幅に下落しているが、それでもなお、今話題の非代替性トークン(NFT)などの売買には欠かせない存在となっている。

 理由の一つは、イーサリアムは、アルゴリズムによるコンピューターコード、すなわち「スマートコントラクト(契約履行管理の自動化)」を利用できることにある。これによりユーザーはさまざまな取引を実行できる。

 ブロックチェーン技術を研究するNPO、ブロックチェーン・リサーチ・ラボ(Blockchain Research Lab)の共同設立者、レナート・アンテ(Lennart Ante)最高経営責任者(CEO)は、「暗号資産のエコシステム全体で見ると、その大半でイーサリアムのブロックチェーンがベースレイヤー(基盤)のインフラになっている」と話す。