【9月5日 AFP】総選挙を25日に控えたイタリアで、極右政党「同盟」のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)書記長が4日、ウクライナ侵攻をめぐって欧米がロシアに科した制裁は機能していないと発言し、物議を醸している。

 サルビーニ氏はRTLラジオで「数か月が経過し、人々が手にする請求書の額は2倍、3倍、あるいは4倍にもなっている」「7か月がたとうとしているが、戦争は続き、ロシア連邦の国庫は膨らんでいる」と述べた。

 その後、同氏は北部チェルノッビオ(Cernobbio)で開かれた経済フォーラムでも、「制裁を続けたいなら、そうしよう。われわれはウクライナを守りたい。だが、制裁対象の代わりにわれわれ自身が痛手を被るのはごめんだ」と自説を重ねた。

 ロシアの天然ガスに大きく依存していた欧州諸国は、ウクライナ侵攻開始後、エネルギー価格高騰に伴う国内経済への悪影響に苦しんでいる。

 サルビーニ氏は3日にも、「制裁を受けている側が勝者で、制裁を科した方がひざまずいている」「欧州の誰かが計算を間違えたのは明らかだ。イタリアの雇用と企業を守るため、戦略の見直しが必要だ」とツイッター(Twitter)に投稿していた。

 これに対し、中道左派「民主党」を率いるエンリコ・レッタ(Enrico Letta)元首相は、「無責任な」発言であり、「イタリア自体、さらにはわが国の信頼性や欧州における役割に深刻な打撃を及ぼしかねない」と非難。「サルビーニ氏の制裁に関する主張は(ロシアのウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin、大統領)のプロパガンダを聞いているようだ」と記者団に語った。

 サルビーニ氏はかねてロシアとの関係を指摘されており、特にウクライナ侵攻開始後は懸念の声が高まっている。(c)AFP