【9月10日 AFP】くしゃくしゃに丸めた紙が勝手に動き出し、困惑するマジシャンを手玉に取る──素朴だが、どこか懐かしくて引き込まれてしまう光景が、今年のマジック世界大会のステージで観客を魅了した。

 ベルギーのマジシャンのローラン・ピロン(Laurent Piron)さん(35)が披露する、丸めた紙を使ったマジックに派手さはない。だが、7月にカナダで開催された、3年に一度の「マジック世界選手権」では見事優勝を果たした。

 ピロンさんは「私の演技を見た多くの年上のマジシャンたちから、子ども時代に戻ったようだ、やり方を忘れていたよ、と声を掛けられた」と言う。

「それこそが、この丸めた紙でやりたかったことです。トリックが大事なのではなく(中略)魔法のような感動を生み出すことを目指していました」

 ピロンさんのマジックは、万里の長城(Great Wall of China)を片側から反対側に通り抜けたり、自由の女神(Statue of Liberty)を消したりする米マジシャンのデビッド・カッパーフィールド(David Copperfield)さんのマジックショーとは異なる。

 だが、大会を終えて自宅に戻ると、そのカッパーフィールドさんからも祝福のボイスメッセージが届いていた。自身のマジックとは違う、より小さなスケールのイリュージョンに感動したというのだ。

 世界選手権での活躍で、ピロンさんの元には日本や英国、米ラスベガスでの公演依頼が届いているという。(c)AFP/Françoise MICHEL