【9月4日 Xinhua News】中国湖南省(Hunan)文物考古研究院は、同省張家界市(Zhangjiajie)桑植県(Sangzhi)にある官田遺跡の考古学調査で段階的な成果があったと発表した。南方地域でほとんど見られない漢晋時代の大規模な鉄器工房跡が出土した。新たに見つかった各種鉄器加工炉の遺構は、漢晋時代の製鉄手工業の重大発見となった。

 遺跡は、同県郁水河西岸の比較的広い台地にある。南北の長さは500メートルで、東西150メートル、総面積は約7万5千平方メートル。発掘プロジェクトの責任者、同研究院の莫林恒(Mo Linheng)副研究員によると、遺跡の主体は溶鉱や鋳造、鍛錬、焼鈍(しょうどん)などの技術を一つに集めた鉄器工房跡で、年代は後漢から三国時代だという。

 莫氏は、2020年から22年の発掘調査で約3300平方メートルを発掘し、スコップや手斧、刀、棒材などの鉄器、坩堝(るつぼ)、スラグ、陶範(陶製鋳型)、石範(石製鋳型)、銅塊など一連の冶金遺物が出土したと説明した。

 発掘調査では、方形土坑炉や円形石組炉など多くの冶金加工炉跡が出土した。莫氏は「これらの遺構は形状が独特で、一定の地域的特徴を備えている。古代の鉄器加工に関する研究で多くの空白を埋める」と指摘。これまで国内で見つかった重要で保存状態の比較的よい漢晋時代の冶金遺跡は、多くが中原地域(黄河中・下流域)や北方地域のものであり、南方地域での大規模な鉄器工房跡の発見は重要な価値があると語った。

 専門家は、同遺跡でこのほど開かれた専門家検証会で、遺跡の発掘成果は武陵山区における漢晋時代の冶金手工業の重要な発見であり、中国の製鉄技術の発展や地域の鉄器化プロセス、鉄鋼技術と社会発展の関係などを研究する上で大きな意義があるとの考えを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News