【9月3日 AFP】ウクライナで1日から、ロシアによる侵攻開始後初めて学校が再開された。

 首都キーウにある私立学校の校長を務めるミハイロ・アリョーヒン氏(26)は、新学年の始まりに向けて、子どもたちが多くの時間を過ごすことになる地下シェルターを整えた。6〜16歳の児童・生徒460人が在籍する同校では、3分の1が戻ってくると考えていた。

 地下5メートルにある窓のないスペースは以前は更衣室だったが、砲撃の脅威にさらされる中、シェルターとして使われるようになった。

 上にある自習室は、侵攻開始前日の2月23日の状態で時間が止まっている。机や掲示板、色とりどりの本や地球儀が残されたまま、始業ベルの代わりに空襲警報が鳴り響くようになった。

 アリョーヒン氏によると、学校では二通りの授業方法を用意している。平常時の授業は「地上」で、シェルターの入り口まで10メートルの場所で行う。もう一つは、空襲警報が鳴った際の地下での授業だ。キーウ市内では今もほぼ毎日のように空襲警報が鳴っている。

「警報が鳴ったら、何をしていても子どもたちをすぐに地下に避難させます」とアリョーヒン氏。「リラックスできる状態で、中断した活動をできるだけ続けさせます」

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、ロシアの侵攻以降、200万人以上の子どもが国外に退避し、約300万人が国内での避難を余儀なくされている。

 ウクライナ教育科学省の調査によれば、全国2万3000校のうち、シェルターがあるのは約半数にとどまる。対面授業を行うためにはシェルターが必要となるため、備わっていない学校ではオンライン授業が行われる。

 大半の保護者はリスクを考え、対面授業を望んでいない。だが、キーウ市内のカフェで友人と談笑していた16歳の生徒は「学校にいる方が安全」だと話す。「先生たちは、すぐシェルターに連れて行ってくれると思います」

 また「(新型)コロナが2年続き、戦争が始まってもう6か月です」とし、「本当は、思い切り普通の生活を送りたいです」と語った。(c)AFP/Anna KORIAGINA