【9月2日 Xinhua News】中国の面食(小麦粉で作った食べ物)文化を日本や世界に広めるため、奮闘する山西省(Shanxi)の麺職人たちがいる。

 同省忻州市(Xinzhou)五台県(Wutai)出身の李俊松(Li Junsong)さんは2015年、東京に山西刀削麺(とうしょうめん)の店「山西亭」をオープンした。19歳で料理を学んだ李さんは、十数年以上前に来日した。当時、日本にある刀削麺が「西安刀削麺」ばかりだったため、「山西刀削麺」を広めたいと思ったという。

 マスクをした李さんが左手で麺生地を載せた板を持ち上げ、右手に持った包丁で生地を素早く削ると麺が一本ずつ沸騰した鍋の湯の中に落ちていく。店内は中国結びや赤いちょうちんで飾られ、壁には山西省を南北に流れる汾河(ふんが)や同省北部に位置する五台山のポスターが貼られている。その雰囲気から、ここが東京の店だとはにわかに信じがたい。

 同省の「面食」は少なくとも2千年以上の歴史があり、種類も非常に多く、中でも刀削麺が最も有名。

 李さんによると、日本人はラーメンのようなスープのある麺に慣れていたので、開店初日のランチタイムは7人しか客が来なかった。その後、一杯の麺のために15分待ちの列ができるようになり、多くの日本人が李さんの作るスープなしの刀削麺を好きになっていったという。李さんは「今ではお客さんの7~8割が地元の人だ」と語った。

 北海道では王斌(Wang Bin)さん(56)が、「運城飯店」という刀削麺の店を開いている。王さんは19年前、北海道のレストランが中国の麺職人を募集した際に来日。「一度は海外に出てみたい」という気持ちだけで来たが、まさか今まで続くとは思ってもいなかったと話す。

 王さんは「刀削麺は北海道で大人気、お客さんの95%は日本人だ」と紹介した。日本人の好みに合わせるため、生地をこねる水を氷水に変えた。また、中国ではこねた生地は当日に使うが、日本では一晩寝かせてから使っているという。

 面食文化をいっそう広めるため、山西省の麺職人の中には、生地を頭に乗せて一輪車をこぎながら削るという芸当まで身につけた人もいる。中でも王張竜(Wang Zhanglong)さん(40)は、日本を含む30以上の国と地域で芸を披露し、中国の「面食文化」の伝道師として活躍している。(c)Xinhua News/AFPBB News