【9月19日 AFP】息をのむような氷山と自然の美しさを堪能しようと、多くの観光客が押し寄せるグリーンランド(Greenland)。だが地元当局は、地球温暖化に脅かされている脆弱(ぜいじゃく)な環境を保護するため、観光客の数を抑制する方法を模索している。

 世界遺産のイルリサット・アイスフィヨルド(Ilulissat Icefjord)から分離した巨大な氷塊がディスコ湾(Disko Bay)をゆっくりと流れ、時折クジラが姿を現す。この美しい景観を目当てに、2021年には5万人の観光客が訪れた。これはイルリサット人口の10倍以上だ。

 2年後には国際空港の開港も予定され、観光客の大幅な増加が見込まれる。観光収入の増加は歓迎されるが、問題もある。脆弱な、しかも氷河の融解が進む生態系に及ぼす影響だ。

 観光船がもたらす汚染も大きなリスクの一つだ。「到着する観光船の数を規制したい」と話すパレ・ジェレミアセン(Palle Jeremiassen)町長は、この20年で観光産業が発展した近隣のアイスランドを「すべきでないこと」を学べる反面教師と表現する。

「アイスランドのようにはなりたくありません。大規模な観光産業など望んでいません。ここでは観光を抑制したい。それをどのようにやるかが鍵なのです」 (c)AFP/Camille BAS-WOHLERT