■「夢も希望も持てない」

 ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、昨年のクーデター以降、「無許可での移動」を理由に身柄を拘束されたロヒンギャは、子ども数百人を含め、約2000人に上る。

 イスラム教徒が大多数を占めるマレーシアも、ロヒンギャ難民の主要な逃避先となっている。密航業者に命を預けていちかばちかで危険な旅に出る人も多い。今年5月には、ミャンマー南西部の海岸に14人の遺体が打ち上げられた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、ロヒンギャ難民との見方を示している。

 昨年、国軍が再び権力を握ったことで、ロヒンギャの人々が市民権を取得し、制限が緩和される希望はさらに薄れた。

 国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」に所属し、ミャンマーでの活動の代表を務めているマルヤン・ベサイェン(Marjan Besuijen)氏は、キャンプで暮らしている人々にとっては家に帰ることすらかなわないだろうと話す。

「たとえ移動できたとしても、彼らがかつて住んでいた多くの村やコミュニティーは、もはや存在しません」

 マウンソウナインさんは「この国では、私たちロヒンギャへの人種的憎悪が根強いのです」と述べ、「将来の夢も希望も持てません」と訴える。「私たちはただ、尊厳を持って人並みの生活を送りたいだけです」 (c)AFP/Sam JAHAN