【8月30日 AFP】マダガスカル南東部の町で29日、アルビノ(先天性色素欠乏症)の子どもが誘拐された事件に怒り警察署に集まった群衆に対し、警察が発砲し、少なくとも14人が死亡、28人が負傷した。警察側は発砲の理由について、人々が誘拐事件の容疑者をリンチ(私刑)で殺害するため警察署に押し入ろうとしたことを受けた自衛措置だったと説明している。

 発砲は同日朝、首都アンタナナリボから南に約350キロ離れたイコンゴ(Ikongo)で発生。地元病院の医師はAFPに、9人が現場で死亡し、5人が搬送先の病院で死亡したと述べた。負傷者のうち9人が重体だという。

 地元議員はAFPに対し、警察が群衆に発砲したと証言。同議員によると、先週発生した誘拐事件に怒った群衆が警察署の前に集まり、28日に逮捕された4人の容疑者について、自分たちの手で正義を下すために解放するよう要求した。誘拐事件の詳細は今のところ不明。

 発砲に関わった警察官は匿名を条件にAFPの取材に応じ、刃物で武装した約500人が警察署に「押し入ろうとした」と説明。警察は当初、発煙弾や威嚇射撃で群衆を解散させようと試みたが、それでも人々が強行突破を試みたため、「自分たちを守る他に選択肢はなかった」と語った。

 サハラ以南のアフリカ諸国の一部では、アルビノの人の体の一部が幸運と富をもたらすと信じられており、アルビノの人が襲われる事件が頻発。マダガスカルでは、人々が殺人事件の報復として容疑者を襲撃する事件が相次いでいる。(c)AFP/Laure VERNEAU