【8月29日 AFP】中国・重慶(Chongqing)郊外で果樹園を営むキン・ビンさん(50)はここ10年近く、精魂傾けてモモやドラゴンフルーツを栽培し、観光客に売ってきた。

 だが今年、観測史上最も暑い夏となり、国土の半分が干ばつに見舞われている。作柄は壊滅的だ。

 キンさんはAFPに対し「これほどの災厄に遭ったのは人生で初めてだ」と語った。

「例年なら今頃、果実を収穫しているが、全部駄目になった。あまりの暑さで枯れてしまった」

 中国南部では猛暑が続いており、60年余り前の観測開始以来、その期間は最長となっている。

 政府は、猛暑によって秋の収穫が「深刻な脅威」にさらされているとし、農家に数十億元規模の支援を行うと約束している。

 しかし、作物が「全滅した」キンさんにとって、どんな支援も手遅れだ。

「政府は私たちを支援しようとしているが、救えるのは果樹だけで、果実はどうにもならない」と嘆く。

 リュウガン(ロンガン)栽培が盛んな村で、被害を受けているのはキンさんだけではない。

 日中は40度を超える日が続く。農家は夜10時から翌朝4時まで作業し、日中は休むようにしている。

 キンさんは「この前測ってみたが、地表温度は60度前後にもなる。そんな中で働くのは無理だ」と話した。

 しかも、来月も日照りが続けば、変則的な時間帯に作業をするといった農家の努力もすべて徒労に終わる可能性がある。

「予報通り、猛暑が9月4日まで続けば、日夜必死に救おうとした木も半分以上が枯れてしまうだろう」とキンさん。「そんな惨状は直視できない」

 水分が足りていない木は、実をつけにくくなる。来年にも影響が残ることになる。

「うちの果樹は来年、満足に開花しないだろう。結実にも深刻な影響が出るはずだ」

 今は雨を待つしかないと、キンさんは漏らした。(c)AFP/Noel CELIS