【8月27日 AFP】米ロサンゼルスで26日、映画「ワイルド・スピード(Fast and Furious)」シリーズ最新作の撮影が今週末から予定されている地区の住民たちが抗議デモを行い、映画の影響により違法で危険な公道レースが多発し、被害を受けていると訴えた。

 デモを行ったのは、ロサンゼルスのダウンタウンに近い歴史のあるアンジェリーノハイツ(Angelino Heights)地区の住民たち。

 違法な公道レースを描いている「ワイルド・スピード」シリーズをきっかけに、違法な公道レースが人気を集めるようになった。多くは夜間に行われ、大勢の見物人も集まる。

 地元住民の一人で「ストリーツ・アー・フォー・エブリワン(通りはみんなのものの意、SAFE)」という団体を設立したダミアン・ケビット氏は、「ワイルド・スピード」シリーズにより「違法行為が美化」され、アンジェリーノハイツが「違法な公道レースの聖地」になってしまったと非難。

「週末の夜になると5、6台の車がやって来て、タイヤを空転させて急発進したりスピンターンをしたりしている」と話し、この地域でこうしたレースが行われるようになったのは「ワイルド・スピード」シリーズの撮影が始まってからだと続けた。

 ある女性住民は、子どもたちが夜間に車の音でしょっちゅう起こされることでトラウマになったと明かし、車がコントロールを失って歩行者がはねられそうになったのも目にした」ために、怖がって外で遊ぼうとしないと続けた。

 配給元のユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)には、ロケ地を他の場所に移すよう求めたという。

 ロサンゼルス市警によると、昨年の交通事故による死者は前年比30%増、重傷者は21%増となっている。

 SAFEは市に対し、減速帯の設置や公道レースを取り締まる「ゼロ・トレランス(不寛容)」条例の制定を要請。ユニバーサルに対しても、公道レースを行わないよう呼び掛ける警告文を映画の中で表示するよう求めている。

 AFPはユニバーサルにコメントを求めたが、これまでに回答は得られていない。

 シリーズ最新作の『Fast X(原題)』は来年5月の公開が予定されている。(c)AFP