■「大失敗」

 ハードマン氏は現代の英王室のメディア戦略について、従来のように「こうべを垂れて事態の推移を見守る」のではなく、全体として論争の展開に迅速かつ積極的に対応していると指摘。昨年、メーガン妃とヘンリー王子が王室内で人種差別に直面したとセンセーショナルな告発をした後、「回想の中には異なるものもある」との巧みな反論を行った点を挙げた。

 ただ、2020年のヘンリー王子夫妻の米国移住、いわゆる「メグジット(Megxit)」をめぐっては、ダメージを最小限に抑える以上のPRが必要だと考える王室ウオッチャーもいる。オーウェンズ氏は、ヘンリー王子は王室に「大きな穴」を残したと話す。

「メーガン妃も、思いやりにあふれ、発展途上国の人々の生活に触れているなどの点で、ダイアナ元妃が目指した美徳の幾つかを体現していた」

 一方、エリザベス女王の「お気に入り」とされるアンドルー王子のスキャンダルへの対応は、ダイアナ元妃の時の過ちを彷彿(ほうふつ)させるという。96歳を迎えた女王の「大失敗」だとオーウェンズ氏は断言し、「1990年代後半からあまり学んでいない可能性を示唆している」「女王はもっと世論に敏感になって、アンドルー王子を排除すべきだった」と述べた。

 オーウェンズ氏は、チャールズ皇太子が戴冠した後にも同様の「落とし穴」がたくさん待ち構えていると見ている。慈善事業の資金集めに関して複数のスキャンダルを抱え、政治介入をめぐる懸念も長年指摘されている皇太子は、エリザベス女王と違って「繊細さ」に欠けており、「そこに問題がある」と語った。(c)AFP/Joe JACKSON