【8月29日 AFP】英国の故ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)が交通事故で急死してから25年。英王室のイメージ戦略は、元妃死去への対応の失敗をきっかけに少しずつ変化し、おおむね成功を収めてきた。しかし、近年スキャンダルが相次ぎ、王室の改革努力に改めて疑いの目が向けられている。

 1997年8月31日のダイアナ元妃の事故死は、英国民を悲嘆の渦に巻き込んだ。だが、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)やチャールズ皇太子(Prince Charles)らは当初、事態の大きさを理解できていなかったようだ。

 判断ミスがあったこと、皇太子の離婚や家庭内不和、数々のスキャンダルで王室の権威が失墜した10年間からの仕切り直しが必要なことを、最終的に王室は認めた。

 現在の英王室は、ソーシャルメディアの活用と迅速な対応に長け、はるかに機敏な広報活動を行っている。しかも、女王の在位70年を祝う6月のプラチナジュビリー(Platinum Jubilee)のように盛大な式典を堂々と開催する力もある。

 ただ、最近論争を呼んでいる醜聞──特に、アンドルー王子(Prince Andrew)が、未成年への性的虐待などの罪で起訴され勾留中に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)被告と交友関係にあった問題や、ヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)の王室離脱は、王室の改革に疑問を投げかけている。

「ダイアナ元妃の死は、混乱を巻き起こした。王室はパブリックイメージを再構築し、より現代的で表情豊かなセレブのイメージを取り入れて民衆にアピールする必要に迫られた」と、王室の歴史に詳しいエド・オーウェンズ(Ed Owens)氏はAFPに語った。「その物語は、元妃の息子たちを通じて今も生きている」

 同氏は、ヘンリー王子のあからさまな距離の置き方や、不祥事まみれのアンドルー王子に対する女王の態度、迫り来るチャールズ皇太子の即位などについて危機感があるとし、「この先、困難な時代が続くだろう」と予測した。