【8月26日 東方新報】中国経済は輸出が回復している一方、国内の消費、雇用で課題を残している。

 税関総署によると、7月の中国の輸出入総額は前年同月比16.6%増の3兆8100億元(約75兆9668億円)に上り、今年の月間最高額を更新した。このうち輸出は23.9%増の2兆2500億元(約45兆円)、輸入は7.4%増の1兆5600億元(約31兆1045億円)。新型コロナ対策のための上海市の厳格な外出制限が6月に解除され、海外との貿易が活発化した。

 1~7月の輸出入総額は、前年同期比10.4%増の23兆6000億元(約472兆円)。このうち輸出は14.7%増、輸入は5.3%増で、輸出が堅調だった。江蘇省(Jiangsu)で上半期の輸出入規模が過去最高を記録するなど、コロナ禍の影響が比較的低い地域が貿易を下支えしていた。貿易相手ではトップ3の東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧州連合(EU)、米国との貿易が安定して増加。中国が国策として力を入れている新エネルギー車(NEV)やアルミニウム、レアアース(希土類)、衣料品、機械・電気製品などが輸出の主力となった。

 国内では、消費のけん引役となる新車販売台数が7月は前年同月比29.7%増の242万台に達した。自動車産業の拠点・上海でサプライチェーンが復活し、政府による自動車取得税の減税策も消費を後押しした。

 ただ、国家統計局によると、7月の国内小売売上高は前年同月比2.7%増にとどまり、伸び率は6月の3.1%増から鈍化した。コロナの影響が出やすい飲食業は1.5%減、不動産市場も冷え込みが続き、投資マインドに盛り上がりが欠けている。雇用も低迷し、16~24歳の失業率は19.9%と過去最悪の水準に。今年の大学(専門学校含む)卒業生は過去最高の1076万人で、「史上最も就職難の年」と言われている。

 ここに歴史的猛暑が追い打ちをかけている。中国各地で気温が40度を超え、エアコン需要の増加や水力発電所の発電量低下により電力不足が深刻化。四川省(Sichuan)は8月15日、省内の工場に6日間の操業停止を指示し、トヨタ自動車(Toyota Motor)や米半導体大手インテル(Intel)などの工場も影響を受けている。8月に入り全国でコロナ感染者が急増していることも懸念材料となっている。各地で外出制限が敷かれると、生産や消費がダメージを受けることになる。

 中国経済にとって、猛暑を乗り切り、コロナ禍を抑え込むことが当面の課題。「灼熱(しゃくねつ)の夏」を越え、どれだけ「実りの秋」を迎えるかが注目される。(c)東方新報/AFPBB News