【8月25日 People’s Daily】中国のIT大手「阿里巴巴集団(Alibaba Group、アリババグループ)傘下の「阿里雲(Alibaba Cloud、アリババクラウド)」は先日、新型クラウドデータセンターのために設計された専用プロセッサであるCIPU(Cloud Infrastructure Processing Units)を正式にリリースした。将来的には、CPUの代わりに次世代のクラウドアーキテクチャー体系の中心となる。

 CIPUはCPUと一字の差だが、根本的に違うものだ。CPU(Central Processing Unit)とは中央処理装置のことで、超大規模集積回路(VLSI)であり、コンピューターの演算や制御の中核でもある。その機能は、主にコンピューターの命令を解釈し、コンピューター・ソフトウエアのデータを処理することだ。アリババクラウドが今回新発表したCIPUは、CPUにとって代わりクラウドコンピューティングが制御と加速の中心としての役割を担っている。

 デジタル時代において、超大規模な計算シーンと計算力は、人口の多い中国にとって特に重要だ。全てのモノがつながるモノのインターネット(IoT)時代の到来に伴い、クラウドコンピューティングの需要はより高まっている。その需要拡大に対応するため、中国は今年2月、「東数西算(東部地域のデータを西部地域で保存・計算すること)」プロジェクトを正式に始動させ、10か所のデータセンタークラスターを通じ、データセンター、クラウドコンピューティング、ビッグデータを一体化した新型計算力ネットワークシステムを構築した。

 データセンターの建設は、大規模なシステムプロジェクトだ。中国でいち早くクラウドコンピューティング開発に取り組むアリババクラウドは、従来のCPU中心のデータセンターでは演算能力が大きく損なわれていることを発見した。

 この課題を解決するために、アリババクラウドが開発したのがCIPUだ。CIPUは、データセンターへの計算、ストレージ、ネットワークリソースのクラウド化およびハードウエアの加速化を実行し、Apsara(飛天)クラウドオペレーションシステム(OS)に接続し、世界中の数百万台のサーバーを1台のスーパーコンピューターに統合した。

 専門的なテストを行った結果、「CIPU+ Apsara OS」を中核とした計算力が大幅に向上した。主流の汎用計算シーンでは、Nginxの性能が89%、Redisが68%、MySQLが60%向上した。ビッグデータとAIシーンでは、AIディープラーニングシーンのトレーニング性能が30%、Sparkの計算性能が30%向上した。単一ユニットでのバーチャル消費が50%低減し、バーチャルユニットの起動速度が350%向上したという。

 性能の向上だけではない。クラウドコンピューティングに没頭する開発者が増えており、新型コンピューティングアーキテクチャーによって、単発のブレークスルーに留まらない、大幅な計算能力の向上が望まれている。

「アリババクラウドはCIPU技術を提案し、前世代のコンピューティングアーキテクチャーの中心を完全に破り、基礎技術の面で世界のトップを達成し、国際的なIT大手と同じスタートラインに立った」。中国工程院(CAE)院士で、清華大学(Tsinghua University)高性能計算研究所の鄭緯民(Zheng Weimin)所長は、CIPUは中国がクラウドコンピューティングの定義権を獲得する上で有利な立場に立ち、もともと西洋の技術によってルールが決められてきたこれまでの流れを変えた。「次なる技術時代には、中国が独自の地位を自らによって獲得していく自信がある」と述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News