【8月24日 AFP】ロシアのウクライナ侵攻は24日、開始から半年を迎えた。ロシア人の間では、侵攻は「必要」だったとの声が上がる一方、「悲しみ」を感じる人もおり、世論は今も分断している。

 2月24日、親欧米路線をとる隣国ウクライナでロシアが開始した「特別軍事作戦」について、首都モスクワ周辺でAFPが取材した人々の意見は分かれたが、すべての人に共通していたのは、戦争の早期終結に対する願いだった。

 モスクワでは、ウクライナで戦うロシア軍を象徴する「Z」の文字が入ったステッカーを車の窓に貼るなど、侵攻を支持する人々の姿も見られる。だが、地方部よりも保守的な人が少ないとされる市中心部では、取材に応じた市民の大半が戦争とその影響に批判的だった。

 街頭インタビューに応じたIT技術者のドミトリー・ロマネンコさん(35)は「ウクライナ人を非常に気の毒に思う。何も悪いことをしていないのに、理由もなく苦しんでいる」と語った。「戦争のせいで、私のやっていたこと、仕事はすべて破綻した。スタートアップで取り組んでいたプロジェクト8件は全部つぶれた」

 元美術評論家のワレンチナ・ビャリクさん(83)は「すべてが変わってしまった」と話した。「軍事作戦から遠く離れた場所に住んでいても、亡くなっている人たちについては、国籍に関係なく深い悲しみを感じる」

 ビャリクさんにとって、ロシアの孤立化が進んでいることが特に問題だという。「偉大な国が孤立してしまったこと、誰もがこの国を嫌っていることは、私たちにとってとてもつらい」と胸の内を明かした。

 他方で、侵攻を強く支持する国民もいる。首都近郊で最近開催された兵器見本市では、こうした人々が多く集まった。

 白の文字で「Z」が描かれたTシャツを着て、戦車の列の近くを歩いていたウラジーミル・コソフさん(33)と母親のオリガさん(55)は、ウクライナ東部ドンバス(Donbas)地方の親ロシア派武装勢力を支援することはロシアの義務だと説明。オリガさんは「命を懸けてでも彼らを助けなければならない」と語った。ウラジーミルさんも、ウクライナの「ナショナリズム」を「現代で最も危険な脅威」と批判した。

 見本市を訪れたIT技術者のミハイル・ニキーチンさん(35)は、戦争は「必要なことだった」と語る。「遅かれ早かれ、私たちが勝利する。その後は万事うまくいくだろう」 (c)AFP