【8月24日 AFP】マレーシアの政府系ファンド「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」をめぐる巨額汚職事件で、同国の最高裁判所は23日、禁錮12年の刑を言い渡されたナジブ・ラザク(Najib Razak)元首相による上告を棄却した。これにより有罪が確定。専門家は、政界復帰への道が閉ざされた可能性があると指摘している。

 親族は、ナジブ被告が首都クアラルンプールの南にあるカジャン(Kajang)刑務所に送られたとの通達があったと話している。

 マレーシア建国者の一人を父に持つナジブ被告は、英国で教育を受け、幼い頃から首相になるべく育てられてきた。2018年の総選挙では、被告とその友人が1MDBから巨額の資金を不正流用した疑惑が大きな争点となり、長期にわたり政権を握ってきた被告の与党連合は敗北した。

 判決前にAFPの取材に応じたオーストラリア・タスマニア大学(University of Tasmania)のジェームズ・チン(James Chin)教授(アジア研究)は、マレーシアの法律では、ナジブ被告が有罪となった場合、次回選挙とその次の選挙への立候補が禁じられると指摘。「政治生命が絶たれるのは明らかだ」との見解を示した。

 一方、マレーシア太平洋研究センター(PRCM)の胡逸山(Oh Ei Sun)主任顧問は、国王の恩赦を得られれば政界復帰は可能だと説明。ただし、恩赦は被告と同じ与党・統一マレー国民組織(UMNO)に所属するイスマイルサブリ・ヤーコブ(Ismail Sabri Yaakob)現首相が勧告する必要があるとした。(c)AFP/M JEGATHESAN