【8月25日 Xinhua News】中国の研究者が2021年8月に行われた第2回青蔵高原科学調査研究の際に、同高原東端に位置する貢嘎山(コンガ山)山南東側の峡谷で、100年前に姿を消したニシキギ属の絶滅危惧植物「尖歯衛矛(学名:Euonymus aquifolium Loes.et Rehder)」を発見したことが明らかになった。

 同種は1908年11月、英国人アーネスト・ヘンリー・ウィルソンにより、四川省西部で果実期の標本3点が採集されたが、その後は100年以上にわたり見つかっていなかった。

 中国科学院成都生物研究所の胡君(Hu Jun)助理研究員率いるチームは、第2回青蔵高原科学調査研究の特別テーマ「森林と低木林の生態系と資源管理」で四川省西部での視察を実施。貢嘎山南東側の峡谷の断崖で「尖歯衛矛」とみられる個体群約15株を発見した。

 科学的な正確性を確保するため、研究チームは植物の分類に影響を与える萼(がく)片や花弁、おしべの数などの重要情報について詳細な野外観察を行い、科学的なスケッチも作成した。

 研究チームは最終的に、今回発見された種が110年余りの時を経て再び現れた「尖歯衛矛」であることを確認。さらに、同種の花部の特徴を初めて記述、解明し、さまざまな属性情報を補填、修正したほか、発見された株の数や生存環境の現状に基づいて脅威の状況を評価した。研究成果はこのほど、植物分類学の国際誌「Phytokeys」に掲載された。

「尖歯衛矛」は現在、国際自然保護連合(IUCN)の22年のレッドリストで「絶滅寸前(CR)」に指定されている。(c)Xinhua News/AFPBB News